5月サンシャインラン展 1日から蘭友会ラン展がサンシャインシティにて開催されます。前日(31日)は据え付け作業となります。本サイトはVRT Japan名、隣はフィリピンからのPurificacion Orchidsでブース番号はそれぞれ33と34で会場の中央付近となります。本サイトでは胡蝶蘭、デンドロビウム、バルボフィラムが中心ですが、このラン展では一般的な品種の出品は少なくし、デンドロビウムとバルボフィラムは主に歳月記に掲載した新種やspを、一方胡蝶蘭は3-4種の改良種を除き30種以上で野生栽培株を出品します。おそらく胡蝶蘭原種の野生株が一堂に揃う出品は初めてではないでしょうか。実生とは異なる野生株の形状がよく分かると思います。多くの趣味家の来場を期待しています。サンシャインラン展でのBulbophyllum spの販売方法 2回のフィリピン訪問で、多数のバルボフィラムspを入手しました。3月初めの訪問ではミンダナオ島を中心にフィリピン南部の、4月末の訪問ではPalawanからのバルボフィラムでspだけで20種以上となります。問題は、これらは開花してみなければ種名が分かりません。幾つかはすでに開花しており、昨日はBulb. othonis (Cirrhopetalum nutans)の白と黄色(flavaフォーム)が開花し、また1週間ほど前にはBulb. flavescensらしき花が咲きました。未開花ですが生息地、葉およびバルブの形状からBulb. socordineと思われるバルボフィラムなども含まれる様です。浜松温室を訪問される多くの趣味家は、spでも株の形状からすでに所有しているものといないものを推測し購入されていきます。であればラン展でも、株の違いが比較できるように並べ、これを1株当たり2,500円から3,000円ほどで一堂に会し販売してはどうかと、後4日後のサンシャインラン展に出品をすることにしました。期待した種と違ったものになっても、この価格であればと言ったところでしょうか。下写真が現在在庫中のBulb. spの一部です。上段には6種類のバルボフィラムが吊り下がっており、写真の株はフィリピン南部生息種でいずれもバルブが太く葉長の長い大きな株です。下段は主にPalawanからで温室の別の場所に吊り下げた3例です。ラン展には20種程を各4株持って行く予定です。ラベルにはsp1から順次続き番号を付けましたが、それぞれが4株と僅かなので土日までには歯抜け状態になるかも知れません。 今回のラン展でのバルボフィラムについては国内マーケットでの取扱いの稀な種や、花は分っているものの種名が不明な種を中心に出品する予定です。 ボルネオ島からのDendrobium sp Den. bifariumに似たボルネオ島Sabah州生息とされるデンドロビウムの写真が4月にspとして送られてきました。Den. bifariumと生息地もボルネオ島と同じであることから、角度を変えて撮影すればこのような画像になるのではと、すでにDen. bifariumは在庫しているため期待しないで待っていました。しかしラン園の2代目が運んでくれた株を見て調べてみると葉形状がsp種は楕円で丸く、一方、Den. bifariumは披針形で明らかに異なり別種であることが分かりました。またDen. connatumも近縁種として知られていますが、こちらは葉先が割れている点はspと似ているのですが葉形状が方形で異なります。それではネットに似た種はないかとDistichophyllum節を中心に探したのですが今のところ見当たりません。マレーシア園主はこれまで取り扱いがなく新種ではないかというのですがそれ以上のことは分りません。胡蝶蘭と同じ高温室に置いています。下写真は上段左が今回の入荷株の花で、サプライヤーからの写真です。右が入手した株の葉です。一方、中段左は現在浜松にて開花中のDen. bifariumで右はその葉を示すものです。また下段は同じく浜松でDen. bifariumに混在し開花したDen. connatumと思われる画像です。こうした近縁種についてはリップ形状の分析からDen. connatumグループの変種や地域差とする研究もあるようです。
植え付け後のsp株の写真が下で、サンシャインラン展に数株出品する予定です。変種や新種であれば面白いのですが1株が大きく3,000円での販売を予定しています。
マレーシアからの入荷第七弾 Bulbophyllum sp 下写真は今回マレーシアラン園より入荷した種名が分からないIrian JayaおよびSumatra島生息のBulbophyllumです。左が園主から送られた花画像、右はそ浜松にて植え付けが終了した直後の、それぞれ左の花の株です。最下段とその上のsp株は葉が半分に切られていますが、これは1バルブ毎にリゾームが切断されマレーシアラン園に入荷していたため、順化を始めるにあたり浜松にて葉を50%切断したものです。1バルブ1葉のみの株でさらに根が傷んでいる場合、この状態から新芽や新根を出すには、葉からの水分の蒸散を軽減し、バルブに蓄積されたの栄養を既存の葉にではなく新芽や新根の発生に費やさせるためです。若芽の1-2葉を残しほとんどの葉を取り除く挿木処理と同じです。上段から5点はサンシャインラン展で販売しますが下段2点は新芽の発生確認後となります。こうした株はその間、予約となります。本サイトではsp種の価格はこれまで2,500 - 3,000円とし、比較的長いリゾームをもち30㎝程の大きな葉株は葉当たりの価格で1,000 - 2,000円としてきました。下画像の下段sp2点も同じです。マレーシアからの入荷第六弾 Vanda helvola alba (flava?) とDendrobium klabatense Java, スマトラ島、ボルネオ島、西マレーシアに広く生息するVanda helvolaが、フィリピンのミンダナオ島Cotabatoでも新たに発見され、これが現地でRed Vandaと呼ばれ3年程前に10株入手しました。本サイトのカタログにも載せていますが作成時には未開花であったため株画像のみの掲載となっています。こうした中、4月にマレーシア園主からスマトラ島生息の同種albaタイプが入手可能であるがどうかと打診があり、今回これを1株のみ入手できました。albaというよりはflavaフォームの黄色一色でこのような色合いを現地ではalbaと表現します。下写真上段左が5月現在浜松で開花中のフィリピン生息の一般種の花です。、右が園主から送られたスマトラ島生息のalba種の写真です。一方、スラエシ島Klabat山生息種であるDendrobium klabatenseが現在、落葉期を経てバルブだけの僅かな在庫しかないこと、また国内の植物園からも引き合いがあったことから今回マレーシアラン園の2代目が成田に来る機会にと20株程を依頼していました。今回これを得ることが出来ました。いつもマレーシアラン園には発注前に見積りを依頼することがなく入手してから価格を知る、それだけ価格に関しては信頼しているということですが、驚いたことに価格が前回購入時の倍になっており、本サイトで先に紹介したDen. cinnabarimum var. angustitepalumよりも高く、Den. torajaenseの2倍程でした。なぜこれほど高額になったのかとシンガポールや他のマレーシアラン園のカタログを調べたところ現在本種の扱いがなく、こうした状況を考えるとかなり入手難と推測します。本サイトでは本種の価格を5,000円としています。下写真下段左がDen. klabatenseの花でサイズは3㎝ほどです。また右が今回入手した株を6株毎に大型バスケットに寄せ植えした一つです。Calcarifera節で栽培は中温タイプ、落葉してから開花し、開花期は早春です。国内マーケットを見ますと2012年の国内ラン園のカタログに2万円弱の価格がネットにありました。現在は本サイト以外国内マーケット情報がありません。
フィリピンからの入荷第四弾とマレーシア第五弾 Dendrobium rindijanienseとDendrobium hasseltii 先月の歳月記の「ニューギニアからのラン」で、入手する前にネット上で画像を公開すると取引をdisturbするバイヤーがいるので入手するまでは画像掲載は止めようとマレーシア園主から依頼があったことを取り上げましたが、2点ほど掲載したランが得られなくなりました。それではとそのインドネシア生息のランの一つを今回はマレーシアではなくフィリピン経由で入手しました。それがDen. rindijanienseです。数珠と言うか、こぶのように節間が繋がっている不思議な形状のデンドロビウムです。インドネシア領Lomok島1,900m-2,000mの高地に生息するランのため低温から中温の栽培環境が必要のようです。下写真上段左が園主から送られた写真で右は浜松にて撮影した4株のDen. rindijanienseです。1株が7 - 12バルブで構成されています。サンシャインラン展では4,000円で販売予定です。一方、昨年来からの要求でようやくマレーシアからDen. hasseltiiが入荷しました。下写真下段左が同じロットの現在開花中の花で、右がクラスター株です。30バルブほどあります。こちらも高地系でマレーシア、スマトラ島の標高1,500m-3,000mの生息です。本サイトでは3-4バルブサイズを2,500円としてサンシャインラン展に出品します。
フィリピンからの入荷第三弾 Dendrobium sp (uniflorum form) Den. uniflorumはマレー半島、ベトナム、タイ、ボルネオ島、フィリピンと広域に生息するDistichophyllum節のデンドロビウムです。フィリピンにおいてはルソン島からミンダナオ島までフィリピンのほぼ全域に分布しており、リップの色がた生息種と比べ緑がかっている点が他の地域種とは異なります。Palawan諸島での本種の生息情報はこれまでなく、今回現地ラン園ではPalawan種は初めての入荷とのことで、これを入手しました。形状は1.5-2.0cmで一見、フィリピンDen. uniflorumを小型にしたフォームですが、不思議なことに同一ロットの株、この株はDen. uniflorumに比べてやや茎(疑似バルブ)や葉がスリムですが、リップの緑色がさらに鮮明である一方、柿色をしたフォームも同一ロット株内に現れる不思議な特徴が見られます。Den. uniflorumの花寿命は長く、通常リップは開花から時間の経過とともに薄緑から淡い黄土色に変化が見られます。しかしPalawanからの種は開花時からほとんど色変わりがありません。これが下写真の花と株です。Palawan諸島は動植物研究家にとって重要な地域で、これは一千万年前にユーラシア大陸からPalawanが分離し、その5百万年後にはフィリピン諸島が誕生、やがてそれまで陸続きであったPalawanとボルネオ島が分離する地殻変動を経て、今日の島々が出来上がったとされます。また氷河期にはPalawanとボルネオ島、マレーシア、インドネシアなどは陸続きであり、動植物にとってPalawanからボルネオ経由の移動や進化があったとされます。現在のPalawan生息種が大きな意味を持つのは、氷河期を経てPalawanはこれら島々とも分離することになり、その後それぞれの地域では独自の進化があったものの現在の動植物の祖先となる種がPalawanには多数残っているとされるからです。現在Palawan以南ボルネオ島からオーストラリアまで広く分布するPhal. amabilisがDNA分析からPalawan諸島のPhal. aphroditeを祖先とするのもその一つです。 上記説から、大陸に広く分布するDen. uniflorumとPalawan以南に生息するDen. uniflorumはPalawanを経由して移動したとする仮説もあり得るかと考えます。であれば今回始めて入手したPalawan生息のDen. uniflorum-likeな種はフィリピンやボルネオ島を始めとしたDen. uniflorum-likeな種の祖先と関わっているのかと思いを馳せているところです。下写真は今回入手したDen. uniflorum-likeな種で、上段は同じロット株内での花を、下段はその株の寄せ植えです。サンシャインラン展に数株出品します。価格は株サイズによって2,500-3,000円の予定です。 マレーシアからの入荷第四弾 Dendrobium torajaense 3月の本ページでシンガポールの大手ラン園の価格リストの中に飛びぬけて高価なデンドロビウムがあり、それがこのDen. torajaenseであることを取り上げました。100米ドルです。本種はスラウェシ島Toraja山の生息種てCrumenata節である一方、花形状や栽培方法はフィリピンのFormosae節であるDen. valmayoraeと酷似しています。本種は1999年登録、Den. valmayoraeは2010年とそれぞれが比較的新しく発見されたデンドロビウムです。マーケットの価格でその希少性を論じるのは早計ですが、海外での大まかな流通状況は反映しているものと思います。この点両者共に高価で、ネットからは国内のマーケット情報は見当たりません。Den. torajaenseの栽培情報は皆無の状態ですが、中温タイプでバスケット植えが4-5年の栽培経験から最適です。高温栽培では開花に至りません。落葉性のため全ての葉が落ちることがあり、翌年新たな芽が発生します。ミズゴケ素焼き鉢、バークプラスチック鉢など試みましたがいずれも今一つで過かん水は避け、とはいうものの植え込み材はしっとり感が必要(自然界では乾期があるものの夜間は霧が発生し高湿度)であることからバスケットが適しています。 写真は今回の寄せ植えですが、これはスペース節約のためで、本来は1本植が最適です。こうした寄せ植えの場合は下写真右にあるように大型バスケットに6本までで、根をミズゴケで巻いてバスケット木枠の左右両面(それぞれに3株)に押し付けて並べ、この結果空く中央部にコルクチップあるいはヘゴチップを埋め込みます。株を2列に並べ分離帯を作りここにコルク等の気相の大きな植え込み材を置くのは過かん水避けるためで、バスケット内のすべてをミズゴケで埋めることはしません。趣味家にとってはこうした株を多数栽培することはないと思いますので、通常は小型バスケットに1株ミズゴケでの植え込みます。注意する点は中温であることで、夏季昼間平均温度を25℃程度とすることが好ましく、28℃を超えないようにすることが要です。本サイトの価格ですがシンガポールラン園の1/3とし3,500円を予定しています。
フィリピンからの入荷第二弾 Vanda devoogtiiとVanda arcuata スラウェシ島北部に生息する2種類のVanda devoogtiiとVanda arcuataが僅かですが入荷しました。特にVanda devoogtiiは1932年の発見以来3回採集されたのみで極めて希少種であるとorchidspecies.comに記載”This species has only been collected 3 times since it's discovery so it is quite rare”されています。それが事実であるとすると、かなり高価ではと思いますが意外にあっさりと、このインドネシアVandaがフィリピン経由で入荷しました。下写真がそれらで、状態は今一つの感で直ちに順化栽培に入ったところです。下写真は左がVanda devoogtiiで右がVanda arcuataです。株姿だけでは何の変哲もありません。販売は順化後となります。国内では2年前に一点30,000円で販売されていたようですが本サイトでは8,000円を予定しています。
フィリピンからの入荷第一弾 Dendrobium miyasakii 日本人の名前がついたデンドロビウムDen. miyasakiiは地生および岩性でルソン島PampangaおよびZambales州のフィリピン固有の生息種です。登録は古く1931年で当時のラン収集家名からだそうです。花は5㎝と中サイズ、セパル・ペタルが淡くリップが濃いピンク色をした美しい花です。本種はしばしばデンドロビウムに見られるように落葉後に開花する性質であるため、花は一層目立ち印象的です。1か月ほど前、フィリピンから本種の入手の打診があり、状態が良ければ取寄せるようにと依頼しました。その株が昨日入荷しました。下写真の下段がそれらで、驚いたのはこれまでに見たことがない程の株サイズです。100株が入荷しその内の52株はクラスター株で、22㎝角の大型バスケットにも入らない大株も数株含まれています。下段左はこれらクラスター株を3株撮影したものです。写真右は100株のDen. miyasakiiとなります。株は全て状態が良くこれから植え付けと順化作業に入ります。これらクラスター株は1年程栽培した後、展示会での賞狙いの株に購入されてはどうかと思います。一般サイズから下段左画像の右株になるまで育てるには10年以上を要し、寿命との戦いとなってしまいます。今回の入荷株の価格ですが、5-7本の疑似バルブからなる一般サイズは2,500円と現在の市場価格の1/3以下とし、クラスター株を幾らにするかは検討中です。サンシャインラン展にはクラスター株を5株ほど出品します。下写真上段の画像は今回のロットとは別株からの花で、4月初旬に浜松で撮影したものです。 マレーシアからの入荷第三弾 Phalaenopsis cochlearis Phal. cochlearisについては先月の本ページで、野生栽培株の入手が胡蝶蘭の中で最も困難な一種であることを取り上げました。今回現地ラン園でこれまでにない、纏まった数が入荷したとの知らせを受け、(知る限りの)全株を入手しました。これを1昨日成田で受け取り昨日開封してその大きさに驚きました。下左写真は同じPhal. cochlearisを3株並べて浜松温室にて比較撮影したものです。写真で左株が今回入手したPhal. cochlearisで葉長32㎝、中央の小さな株が現在開花中の実生株、また右がこれまで4株ほど栽培してきた野生株の一つです。中央の実生も右の野生株も現在開花中のBS株です。この写真から、中央の小株が左の大株と同種で、しかも同じBS株とは信じがたいほどの違いがあり、中央の株はまるでフラスコから出して間もない苗のように見えます。しかし写真に見られるように間違いなく1輪ですが花を付けたBS株です。大株が付けている花茎の数を見ると開花時にはかなりの輪花数となるのではと期待しています。
上右写真は今回入荷した株を仮植えしたもので20株ほどあります。これまで15年間の胡蝶蘭栽培で何度も海外に出かけましたが入手難とされるPhal. cochlearisの野生栽培株がこれだけ纏まったのは初めてです。Phalaenopsis A Monographの著者E. A. Christenson氏は本種について同著書94ページに以下のように形容しています。 "The species is exceedlingly rare in modern collections. Even many of the top phalaenopsis breeders do not own a plant of P. cochearis. Cearly some critical cultural details are missing"本種は近年の収集において極めて稀な種で、多くのトップレベルの胡蝶蘭育種家でさえ手にしていない。こうしたことから栽培に関する重要な点が失われたままにある。 本種栽培はPhal. giganteaやPhal. bellinaと同様に高温・高湿度が適していることは変わりませんが、最も重要な点は輝度でPha. fuscataと同じように低輝度環境が必要です。さて今回の入荷が今回限りで再び入手難となるのかどうかは誰も分かりません。そこで本サイトでは野生栽培株のBS株を6月のサンシャインラン展では5株に限り3万円で販売する予定です。なお実生は本サイトでは2,000円です。実生は現在容易に手に入りますが台湾生産株にはハイブリッドが多く注意が必要です。 マレーシアからの入荷第ニ弾 Phalaenopsis pantherina alba (flava?) ボルネオ島生息種であるPhal. pantherinaは黄色のベースに赤褐色の点や棒状の斑点のセパル・ペタルフォームをもちます。最も顕著な特徴はリップ中央弁の中央部が細く先端が三日月形状であることです。4年前にセパルペタルの斑点が消え黄色一色のflavaフォームをもつ変種が出現しました。これをマレーシアで入手し毎年自家交配を繰り返してきたのですが不合和性があるのか今日まで受粉に至っておりません。そろそろ花茎培養かと考えていたところ、入手元のマレーシアラン園で実生化に成功したとの知らせを1か月ほど前に受けました。現地ではflavaフォームではなく黄化フォームをalbaと呼んでいますが、本サイトとしてはflavaの方が正しいように思います。このBSサイズは当時の元親の価格と比べれば1/5以下となっていましたが1-2年後開花予定のNBSであればさらに安価になるとのことで今回これを20株ほど入手しました。下写真は上段左が一般フォーム。右がPhal. pantherina flava (alba?)のフォームで下段左の株となります。下段右がNBS株で開花は2年後となります。サンシャインラン展にはBSを1株、NBSを5株出品します。flavaフォーム種がこれだけ纏まっての売り出しは世界初と思われますがBSは5万円、NBSは5,000円を予定しています。
マレーシアからの入荷第一弾 Dendorobium cinnabarinum var. angustitepalum 地元料理が好きになれずマレーシアを訪問する度に中華料理三昧となっているのですが、胆嚢の手術後のため脂っこい中華料理は6月までは控えようと、しばらくはマレーシアに出かけるのを止め、かわりにラン園の2代目にランを成田まで持ってきてもらうことにしていました。昨日(15日)ようやく2代目がランを携えて日本に来ることになり浜松から成田まで受け取りに出かけました。植物検疫ではサンプル検査ではなく全点の品名及び員数検査が行われたようで検査終了までに1時間半程を要し、2時間近く到着ロビーで待ちました。今回入荷した株は約500株です。持ち帰った全品種の仮植えが終わったのは本日(16日)の夜7時過ぎでした。明日から本格的な植え込みとなります。仮植えとは2-3週間は品質に影響がない程度に簡易的に葉や根を保護する処理です。入荷種はデンドロビウムが10種、バルボフィラムは8種、胡蝶蘭原種は9種、その他Vandaなど2種となります。いずれも6月1日からの池袋サンシャインラン展に出品予定の品種となります。 その第一弾としてご紹介するのは、ボルネオ島生息種であるDen. cinnabarimum var. angustitepalumです。この品種は7年ほど前、マレーシアから日本に数株が出荷されたそうです。しかし日本では種名がDen. aurantiflammeum var. bakoenseとなっており、現在もこの名前で検索できます。Den. cinnabarimumがなぜDen. aurantiflammeumと命名されたのかは不明でvar. bakoenseという変種名も日本以外には見られず、果たして正規に登録されている名なのかどうかも不明です。一方、Den. cinnabarimum var. angustitepalumは国際登録された名でorchidspecies.comにも掲載されています。いずれにしてもこの変種は珍種のようで、マレーシアラン園によると日本に7年前に納品して以来、入荷が無く日本以外の国への出荷もしていないそうです。ちなみにその時の国内ラン園の販売価格は10万円だったそうです。現在の国内外での販売情報はネットからは見当たりません。 下写真は、上段が一般的なDen. cinnabarimum (5月現在浜松温室にて開花中)で前面(左)と裏面(右)からの撮影となります。一方、下段左が今回入手したDen. cinnabarimum var. angustitepalumのサプライヤーからの花写真、右が入荷した株の植え付け前の状態です。株は30㎝-70㎝サイズとなります。さて価格ですが現在本サイトでは一般的なDen. cinnabarimumは3,000-3,500円としています。var. angustitepalumは珍種であることから一般市場に出ればかなり高額になると思いますが、本サイトではマーケットの流通具合のみで希少種とか珍種と称して販売価格を決めるポリシーはなく、サプライヤーから顧客までの全てがハッピー々の関係になるように現地からの仕入れ値を基にした採算方式をとっており30㎝サイズを3,500円、それ以上のサイズはDen. aurantiflammeum と同様に4,000-8,000円とする予定です。初日で完売と思いますがサンシャインラン展には大サイズ4株、小サイズを6株ほど出品します。
Bulbophyllum translucidum フィリピンからのバルボフィラムは過去5年間、毎回の入荷株の50%以上がミスラベルといったビジネスとしてあり得ない状態が続いています。その背景として、これまでに扱ったことのないものを集めるようにとの当方の無茶な要求自体がビジネスライクではないのが原因であろうと諦めて、ミスラベルだから交換とか返金を一度も要求することなく、それはそれで受け入れて今日に至っています。最近、不明種に勝手に想像して適当な名前を付ける位なら、分からないものは全てspとして扱うようにと冗談半分で言ったところ、3月および4月のフィリピン訪問は、バルボフィラム20種以上全てがspとしてCITES申請されており、その極端さには苦笑です。昨年9月にフィリピン訪問の際に、Bulb. ocellatum, leytense, ecornutoides, woelfliaeなどを入手しました。同月の本歳月記でもこれらを取り上げています。このうちBulb. ocellatumは既に開花しラベル通りの株であることを確認しましたが他は今月まで未開花状態でした。そうしたなか水撒きをしていたところ、杉皮板に取り付けたBulb. leytenseに妙な花が咲いていることに気付きました。Bulb. leytenseはBulb. flavescensのようにクリーム色の小さな花を30輪ほど穂のようにつけるのですが、それとは全く異なりBulb. aeoliumに似た大きな花です。しかしBulb. aeoliumや同じような花形状のBulb. uniflorumとはバルブや葉の、形状やサイズが全く異なり、それらと比べるとバルブは小さく楕円形で葉は披針形です。この写真を下に示します。 そこでネットで改めて調べたところ、Bulb. leytenseはバルブが葉柄の一部のように膨らみが小さく下写真左に見られるようなバルブ形状とは異なっていることから他に数十株あるBulb. leytense名の株は全てBulb. leyenseではないことが判明、では何かと探していたところ、Species New to Scienceに昨年登録されたフィリピン固有種で新種のBulb. translucidum (Sestochilus節)の記載が見つかり花形状が一致しました。1年未満の直近の新種でありJ. Cootes氏の著書やOrchidspecies.comにも取り上げられていません。マーケット情報も皆無です。生息地はミンダナオ島、サマール島およびレイテ島とのことで、この株がレイテ島で得られ、また余り見かけない株形状であったことでサプライヤーがエイヤーとばかりにLeytenseとタグをつけたものと思います。 今回も今年2月のBulb. spも、こうしたことが起こるとミスラベルに対する覚悟も一長一短で、瓢箪から駒のように容易には得られない新種や種名不明株に偶然に出会えるのもまた一興とも言えます。記憶が定かではありませんが2名ほどが本種をBulb. leyenseとして買われたと思います。数株を6月のサンシャインラン展に出品します。
浜松温室の紹介です。 ジャングルの様相に近づきつつある本サイト温室の画像です。こちらをクリックしてください。原種の種類の多さでは屈指とマレーシアラン園主から言われています。最近はランの名前を覚える時間よりも新たに入荷する品種の方が多く且つ早く、名前の頭文字2-3字を記憶するのが精一杯です。それにしてもどこに何があるかはほとんどが分かると言うことはまだ頭の方は大丈夫かと妙な感心をしています。画像は4棟それぞれの、主に中央通路から撮影したもので温室の奥行きは15mです。各棟それぞれ左右の壁側にも通路(中央通路の裏側)があるため、この2倍近いランがあることになります。温室へのご訪問は予約となっています。温室内では販売のための見やすい配置をしていません。栽培優先の配置です。さらに最近は空いているスペースは余すことなく使わざるを得ない状況であるため、果たして何があるかを見て回るのに1日では到底無理で、興味のある種を予め決めておくことが必要となっています。温室で栽培する7割以上は野生栽培株で交配種(ハイブリッド)は一切ありません。(後記:トップページのメニューからアクセスできるように「本サイト温室風景」を加えました)Phalaenopsis corningiana 4月および5月はPhal. corningianaの開花期です。浜松温室では現在20株程が開花しています。本種は棒状斑点が花の中心から放射線状(それぞれのセパル・ペタル先端方向)に向かって棒状あるいは点状斑点が並ぶのが特徴で、同心円状に棒状斑点が入るPhal. sumatranaとは異なります。その斑点の密度は株により様々ですが、点からソリッドレッドまで変化に富みます。しかしPhal. speciosaとは異なり、開花毎に斑点の密度が大きく異なることはなく、ほぼ同じ様なフォームが再現されます。下写真は現在開花中のPhal. corningianaで、中段右と下段右の2株はそれぞれ10年ほど前に米国OrchidViewから入手したFernbrook AM/AOSで、他は全て野生栽培株です。昨年マレーシアにて野生栽培株の全面ソリッドレッドフォームを入手しましたが開花待ちです。これが開花すれば実生化を図る予定です。ソリッドレッドに近いフォーム、すなわちセパル・ペタルに赤味の占める割合が多いほど人気があるようです。一方で最近のネット画像を見てみると過ってのような濃い鮮赤色をもつ花がほとんど無くなり、くすんだ赤色が多いように思います。
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