栽培、海外ラン園視察などに関する月々の出来事を掲載します。内容は随時校正することがあるため毎回の更新を願います。 2016年度

2017年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

6月


Dendrobium odoratum

 昨年末に入手した北スラウェシ島生息種のDen. odoratumが開花しました。標高800m以下に生息の高温タイプで当初、他の低地デンドロビウムと同じように順化栽培していたのですが調子が今一つで、中温温室に移し今日に至りました。木製バスケットでの植え込みです。立ち性で1m程に伸長する疑似バルブの先端部にリップ形状に特徴のある4㎝程の花を付けます。良い香りがします。今後は再び高温タイプ温室に戻す予定です。国内マーケットを調べたところ取扱いが見当りません。

Den. odoratum

現在開花中の希少フォーム胡蝶蘭4種

 6月は胡蝶蘭の多くが開花していますが、その中から一般的なフォームとは異なる株を4種選んでみました。上段左はPhal. amobinensis alba、右が今月のサンシャインラン展に販売出品したPhal. pantherina alba (flava))、下段左がPhal. maculata orange、右がセパル・ペタルが白色ベースのPhal. mariaeです。それぞれの右上の画像は同種の一般フォームです。


Phal. amboinensis alba

Phal. pantherina flava
Phal. maculata orange

Phal. mariae spepal/petal white base color

Dendrobium fimbrilabium

 昨年、Den. rosliiと共に入手したDen. fimbrilabiumが開花しました。リップ中央弁がフリンジ状であることが特徴です。北スマトラ島生息種の高温タイプで本サイトでは胡蝶蘭と同じ環境で栽培しています。国内マーケットでは余り取扱いの無いデンドロビウムで4,000円以上で販売されているようです。本サイトではDen. rosliiと同じ2,500円としました。


Den. fimbrilabium

Bulbophyllum spの似たもの同士

 昨年10月から今年5月までに入手したBulb. spの開花がこのところ続いています。種名のわからないバルボフィラムは30種程に及び販売する上からは困った状態であるのですが、一方で何が現れるか分からない興味もあります。下写真はリップ中央弁が黄色一色の最近開花したspで、左はCameron Highlandsから入手し、1昨年の歳月記10月にも取り上げたCodonosiphon節と思われるバルボフィラムでキャメロンハイランド生息種のようです。中央は今年5月入手のすでに紹介したバルボフィラム、右が今回開花したspです。黄色は虫を寄せ付ける色だそうです。ハエ取り紙が黄色であるのも同じ理由です。ポリネーターはこの黄色のリップを見て集まるのかと、かなり離れた位置から眺めて見たのですが多くの植物に囲まれる中で異様にこの黄色が目立ちます。一瞬、その惹きつけられる色合いから輪廻転生があるのならば自分の来世はハエか?と思ったほどです。Polymeresやcodonosiphon節には似たような形態種がボルネオ島、スマトラ島、マレー半島さらにニューギニアまで広く生息しており、この節だけをコレクションしてもかなりの数になりそうです。


Dendrobium miyasakii

 先月フィリピンからEMSにて入手したDen. miyasakiiを取り上げました。そのほとんどがこれまで見たことがないほどの大株ばかりで今月のサンシャインラン展に順化中の本種を参考出品しました。本種はCalyptorochilus節で、デンドロビウムの中でも最も栽培が困難なランの一つです。落葉した後に開花はするものの、年を越し翌年に根元から新しい芽が出るべきところ現れない。新芽は高芽ばかりで株に勢いが無く1年程はもつのだが徐々に株が弱まりやがて枯れてしまう、また何かおかしいと思って鉢から取り出し根を見ると既に生きた根が無く気が付いた時にはすでに手遅れとなった状態と趣味家からはよく聞きます。

 その主な原因は落葉期の過水と言われます。冬季はかん水の頻度を下げて乾き気味とし翌年新芽が出た時点から再びかん水頻度を高めることが必要だそうです。orchidspecies.comやネットで見かける、Formosae節に似た栽培法は頭では分かっていても、ではその乾き気味とは一体どの程度、どのような状態なのかは今一つはっきりしません。カトレア栽培に書かれたように植え込み材が完全に乾いたらタップリの水を与えるのか、夏のかん水頻度の半分程度にすればよいのか、など様々に思い巡らすのですが、それでうまく育つのであれば本種が難しいと言われる所以はありません。

 カトレアやバルボフィラムのように、しばしの乾燥に耐えるための水分を含むことのできる太いバルブを持たないこうしたデンドロビウムの、落葉期における’ほどほどの乾燥気味’が会得できた趣味家こそプロフェッショナルな栽培家と言えるのかもしれません。乾燥させてはいけない濡らし過ぎてもいけない、この禅問答のような難題に対処するために植え込み材を工夫したり、水やりをある程度控えたりと挑戦するのですが決定的で定量的な情報を今一つ掴みきれません。Formosae節同様に熱帯季節林に多いこうした原種の環境は雨の少ない時期があるものの多くは雲霧林で夜間はかなりの高湿度となります。水が無くても空中湿度は高く保たれる自然形態と、一方で温室において湿度を高めるにはかん水相当が必要にならざるを得ない制約の中で、疑似的に自然形態にどう近づけることができるのかが問われます。

 こうした中、そうした栽培の厄介な代表種とも言えるDen. miyasakiiが先月100株入荷した訳です。さてどうしたものかと栽培経験を踏まえ対処法を考えざるを得なくなりました。これまでは素焼き鉢にミズゴケやミズゴケとクリプトモスミックスあるいはプラスチックポットにバークミックス、さらにヘゴ板などの栽培でした。この結果、前者2つの方法は栽培が難しいこと、一方、ヘゴ板は枯れることがないものの根張りに勢いが無く新芽も高芽が多く、ほぼ現状維持であることです。どのランの栽培もそうですが、自らの持つ設定可能な環境条件が前提となります。つまり同一種だけでなく他属他種で相当混雑した温室ではラン毎に選択的に環境を変えられる手段には限界があります。こうした種を一か所に纏め、かん水量を調整すれば良いではないかと思われますが、困ったことにそれぞれのランには高温から低温種があり開花時期も様々です。言い換えれば、他属他種のかん水頻度とあまり変わることなく、そのランに適した環境をどう作り出すかが課題となります。

 Den. tobaense、Den. ayubii、Den. toppiorum、Den. cruentumのように成長は遅いものの、ヘゴ板では決して枯れない経験から最も無難なヘゴ板を最初に考えたのですが、立ち性で大型バスケットにも入りきれないような大株を含む今回の株をヘゴ板に取り付けることは困難であり、また本来Den. miyasakiiは着生ランではなく地生や岩性ランであって、板や筒状の支持材への取り付け姿は原種として自然らしくないとの思いもあります。

 結論として行ったのは、他の大型デンドロビウムと同様のスリット入りプラスチック深鉢ポットにミックスコンポストです。乾燥させてはならない、しかし乾燥気味を保つこと、この条件を得る一つの対策は植え込み材の気相を大きくすること。さらになぜ1年間は順調で2-3年経過すると株が弱まっていくのか、推測の一つはpHの低下、他はタンニンのような植え込み材あるいは株自身から排出される成分の蓄積が考えられ、そこで今回は大きな気相を得るにはコルク粒を、イオン交換作用をもつゼオライト、さらに本種が地生/岩性ランであることとpH緩衝作用があるとされる麦飯石を使用、またタンニンを含まない発酵バークのそれぞれのミックスコンポストとしました。

 他の中-高温系デンドロビウムと同じ場所で栽培をし、かん水も他と同等量で植え込みから40日が経過しました。現在の状態が下写真です。上段右写真で、茶がコルク粒、黒が発酵バーク、小さな白い粒がゼオライト、石片が麦飯石です。ここ1週間程でそれぞれのポットで根元から新芽が一斉に発生し始めました。これらの新芽は植え付け後に発生したものです。新芽は根元から発生することが株全体の状態の良否を判断する上で重要で、高芽は判断材料にはなりません。この点では下画像が示すように、多数の新芽が同時発生で、これまでにない勢いがあります。入荷時には根は切断されほとんどが枯れた状態でしたが植え付け後、疑似バルブや葉が枯れたり落葉はほとんど見られません。現在は順化期間であり、新根が観測できれば出荷ができると思います。新根が多数現れ伸長著しいようであれば、2-3年程度で劣化するミズゴケや無処理バークなどの植え込み材は使用しておらず、上記の植え込み材でまず第一関門をクリヤーしたことになります。
 

Bulbophyllum multiflorum

 知人でもあるW. Suarez氏が2011年に発見登録したBulb(Cirrhopetalum) multiflorumを入手すべく、3年間フィリピンラン園に発注を続けてきましたが、Bulb. multiflorumラベルで入荷したこれまでの株はBulb. loherianumと、最近ではBulb. brevibrachiatumのいずれかで、本物を得ることが出来ませんでした。半ば諦めていたところ、22日にやっとBulb. multiflorumが1株、これらに混じって開花しているのが見つかりました。余りに長期間のミスラベルの連続であったため、開花した株がいつ入手したものなのかはっきりしないのですが、おそらく昨年12月のsp株と思われます。確かに未開花の株のバルブや葉を見る限り、ミスラベル株との形態的な違いを見出すことは困難です。

 本種は上記のような状況のため市場に本物はほとんど流通していないのではと思われます。J . Cootes氏の著書Philippine Native Orchid Speciesによるとフィリピンルソン島中部Nueva Vizcayaの山岳地からであるがその生息場所や標高は不明とされています。こうしたことも背景なのか、本種名で画像検索すると、Suarez氏から本サイトに頂き掲載した画像が最初にヒットする有様です。これまでの本種名のミスラベルの内、最も多いのはBulb. brevirachiatum (下写真右)であり、この種もNueva Vizcayaの生息種でありBulb. multiflorumBulb. brevirachiatumは同一場所に共存しているのではないかと思われます。Bulb. brevirachiatumが標高500mから1,400mであることから、本種も高温から中温タイプと推測されます。浜松では高温タイプ種用の温室にて栽培しておりこの環境下で開花しました。

Bulb. multiflorum
Bulb. brevirachiatum.

Bulbophyllum carunculatumBulbophyllum orthoglossum

 昨年12月歳月記の中で、マレーシアから持ち帰ったバルボフィラム14種の画像を紹介しました。その中で11番目のラテラルセパルが赤く、ドーサルセパルとペタルに赤いラインが入るマレーシア園主の言うBulb. cheiri-likeな、sp画像がありました。この株が今月に入り開花しました。下写真がその花です。これを見るとラテラルセパルの基部は若干赤味があるものの全体に黄色であり、一見してBulb. carunculatumではないかとの印象です。


Bulb. sp

  そこでこの種のLepidorhiza節を調べたところ、似た種にBulb. orthoglossumがあり、Bulb. carunculatumと共にBulbophyllum amplebracteatumの亜種subspとして登録されていることが分かりました。12年程前にNT Orchidから入手した株にはBulb. amplebracteatumのラベルが付いており、これまでこれらの株はBulb. carunculatumと思っていましたが、Bulb. orthoglossumであることも分かりました。このため本サイトのメニューにあるBulb. carunculatumおよびBulb. carunculatum flavaBulb. orthoglossumの誤りで近々修正をする予定です。

 この2種の違いはBulb. carunculatumにはこの名前の由来でもあるリップ中央弁の表皮に細かな凹凸があり、一方Bulb. orthoglossumは滑らかであることとされます。この違いを示す画像が下記です。これらは本サイトが撮影したものです。このリップの相違からこれら2種はBulb. amplebracteatumの亜種の関係ではなく別種とすべきとの意見があります。

Bulb. carunculatum
Bulb. orthoglossum

 こうした花の形状が類似しているものの種名が異なるバルボフィラムに同じLepidorhiza節のBulb. papulosumBulb. trigonosepalumがあり、この種の違いは上記同様にリップ中央弁の凹凸の有無で分類されています。これらの画像を下写真に示します。この2種は別種と登録されており亜種同士の関係ではありません。

Bulb. papulosum
Bulb. trigonosepalum

 というわけで最初に取り上げた14種の11番目の種は何かです。サプライヤーから送られた画像のようにラテラルセパル全体が赤色であれば面白いのですが、初花の株の花を見ると確かにラテラルセパルの基部に赤味があり、これがセパル全体に広がっている株もあるのかと期待しているところです。ちなみにこの株はニューギニアとのことです。ほとんどの株が最初に示した写真のようであれば、これはリップ中央弁が滑らかであることからBulb. orthoglossumであり、たまたま赤味の強い株が現れれば、それはその個体差の範囲内と結論つけられそうです。

Bulbophyllum sp

 5月の本ページで取り上げたBulbophyllum spのsp1が開花しました。黄色一色のリップ中央弁はセパルのあずき色とのコントラストが印象的です。花サイズは縦横スパン共に2㎝です。細い花茎が長く伸び重そうな花が僅かな風でよく揺れています。

 5月にマレーシアラン園の2代目に成田まで持ってきてもらった株はバルボフィラムに珍しくミスラベルが今のところありません。やはり園主と2代目がクアラルンプールからスマトラ島のコレクターのストックヤードに今回足を運んだ甲斐があったようです。これまでのインドネシアの取引のいい加減さを考え、出不精の園主に2代目も勉強のため同伴してインドネシアに出かけ、コレクターとFace to Faceで取引するようにと説得してきました。やっと重い腰を上げ、5月初旬にスマトラ島へ出かけました。スマトラ島では空港からストック場所までコレクターの車で悪路を片道4時間かかったそうです。デコボコ道で眠ることなどとてもできないほど揺れ通しだったと成田で2代目からその様子を携帯で撮影した動画を見せてもらいました。このコレクターはスマトラ島を始め、Java、ボルネオ島、ニューギニア、大陸系を含め有数のランをストックしており、年内には悪路の揺れ対策として首にギブスを着けてでもも2代目と出かけようと目論んでいるところです。


Dendrobium klabatense

 先月入荷したDen. klabatenseが開花を始めました。本種はスラウエシ島生息種で、マレーシア国内BtoB価格がDen. cinnabarimum var. angustitepalumよりも高価で、Den. torajaenseの2倍程と紹介しました。それほど現在は入荷が困難なようです。本サイトのカタログには本種よりも高額なSpatulata節がありますが、新種や変種を除けば仕入れ価格としてはどの種よりも高額なデンドロビウムとなります。現時点では国際マーケットにおいても取り扱いがないのではと思います。栽培は中温で木製バスケットに寄せ植えとしています。

Den. klabatense

Bulb. spのリスクと面白さ

 Bulb. spとして入手した株が次々と開花する度に一喜一憂していますが、概ねこれまで所有していない種が半数以上あり満足しています。その中でフィリピンミンダナオからのバルボフィラムのspの中にBulb. aeoliumと同形の葉をもつロットがあり、フィリピンから入荷したベアールートのままにBulb. sp (aeolium)としてトレーにミズゴケを敷き無造作に並べ量り売りのように1バルブ1000円として6月のサンシャインラン展で販売しました。しかしこうした売り方は異様であったのか買手がつきませんでした。持ち帰ってさて植え付けをしなければと思い、Bulb. aeoliumとすでに分かっている株の横に置いたところ、おやっ?と思うバルブの形状の違いに気が付きました。

 Bulb. aeoliumと比べて葉形状は違いが分からない程類似しているのですが、バルブが細く全く別種であることが分かりました。それでは何かとなりますが、葉形状やリゾーム間隔などBulb. aeoliumとの違いがなく、バルブの形状のみが異なる種はインドネシアやマレーシアには、例えばBulb. uniflorumに似たグループにしばしば見られますが、フィリピンではこれまでの入荷ではBulb. magnumに似て(注:Bulb. uniflorumBulb. aoeliumは葉形状が前者は長楕円、後者は楕円形で異なり、今回のspは葉形状がBulb. aeoliumと同形で、バルブがBulb. uniflorumに類似)います。これもspならではの面白さで、さてどんな花が咲くかが楽しみです。下写真は左が今回サンシャインラン展に出品したsp、中央はミンダナオからの同時入荷株で別ロットのsp。こちらはBulb. aeoliumの可能性大、右はBulb. aeolium


Bulb. sp

 昨年12月の歳月記に14種のバルボフィラムの画像を「現在植え付け中・・・」として取り上げた10番目のspが開花しました。12月の画像の花は藤色で花形状はBulb. maxilareのようでしたが、開花した花は下写真左に見られるように赤褐色で、光の当たる角度で青っぽく反射し艶があります。花のサイズは左右スパンで1.8㎝です。ドーサルセパルの外縁に繊毛があり、リップの蕊柱と中央弁が細長く伸びている形態はBulb. maxilareと同じです。そこでPolymeres節を調べたのですが、該当する種が今のところ見当たりません。中温で杉板取り付けとヤシガラマットを筒状にした支持材に取り付けています(後記:Bulbophyllum Ephippium節にPapuaおよびIrian Jaya生息種のBulb. nasicaがあり、この可能性があります)。


Bulb. biflorumBulb. frostii

 6月のサンシャインラン展でPurificacion OrchidがBulb. biflorumを5,000円、Bulb. frostiiを3,000円で販売していました。Bulb. biflorumはインドネシア、マレーシア、タイなど広域生息種でその花色は多様です。Purificacionが販売するフィリピン産は幅広のセパルに全体が赤色の特徴があります。しかしBulb. biflorumを5,000円とは高すぎるのではと当初思ったのですが、よく見ると1株が25バルブほどの葉付のある大株で、一般的な販売サイズ5バルブで換算すると1,000円となり、逆にこれでは安すぎると、どうもラン展での販売としては適正なサイズではないと感じていましたが、やはり売れ残ってしまいました。一方、Bulb. frostiiは3,000円で販売しており、これは国内価格で3,000円から3,500円の範囲であり、まずまずかと思っていました。しかしこちらも1株が葉付4バルブから10バルブまであり、全て同じ価格でよいのかなと思いました。

 そこで本サイトで売れ残り品を引き取り、Bulb. biflorumは株分けしバルブ数に応じた価格を設定することにしました。本サイトではこれまでこれら品種は最少3バルブで1,500円としバルブ数に比例して価格が変動する方法をとっています。今回入手のBulb. biflorumに関しては株分けしても1株当たり葉付5バルブ以上となり、これらを2,000円から2,500円とし、Bulb. frostiiは5バルブで2,500円、それ以上で3,000円としました。下写真はそれらの株と花で、花画像はBulb. biflorumはPurificacionホームページから、Bulb. frostiiは本サイトでの撮影で、写真上段は左がBulb. biflorumで、右がBulb. frostiiの株分け後の画像です。

 Bulb. frostiiを小型にしたようなよく似た形状のBulb. socordineがフィリピン固有種として2008年に登録されています。こちらは新種で市場情報は無いのですが5月の歳月記のフィリピン入荷株の中にBulb. spとして含まれていることが分かり、当初の種名不明中は2,500円でしたが現在サイズにより3,500円から4,000円で販売しています。


Bulb. biflorum Phillipines

Bulb. frostii

Passiflora coerulea 'Purple Rain' 

 4月の本ページに取り上げた10㎝を超える大きな青い花のトケイソウです。10株を4月にフィリピンから持ち帰りました。現在浜松温室にて連日開花しています。山野草用土に植え付け1.2m程の支柱を立てるなど、ランとは異なる植え込みに手を焼きましたが、その甲斐あって迫力のある見事な花を咲かせています。下写真は8日浜松温室での撮影です。問題は蔓の勢いが強く所構わず這いまわる様子で油断すると大変なことになりそうです。希望される方には販売をしますが大きすぎて宅配便は無理なため、浜松温室に車で来られる方に限ります。ちなみに種名がネットではcoeruleaではなくcaeruleaとなっています。coeruleaは濃い青という意味ですが、caeruleaはそのラテン語だそうです。敢えて本サイトでは青花でよく使われるoとしました。


Passiflora coerulea 'Purple Rain' 

Bulbophyllum othonis (Cirrhopetalum nutans) 

 4月フィリピンから持ち帰ったPalawan諸島からのバルボフィラムspの中からフィリピン固有種のCirr. nutansが開花しました。これまで本種はルソン島、PolilloおよびLeyte生息種とされていることからPalawanは最初の記録と思われます。葉表面は濃緑色で厚みがあり葉裏に赤みがあります。通常下右写真のようにそれぞれの花は方向が定まらず交差あるいは重なり合っているのですが、左画像の放射線状に整然と並んだ開花もあります。セパルの長さは2-5㎝と多様で、高温タイプです。

Bulb. othonis (Cirrhopetalum nutans)

Bulbophyllum garupinum?

 昨年12月に入手したパプアニューギニア生息のBulb. garupinumとされる株が開花しました。本種は通常セパル・ペタルが淡いピンク色をベースに赤色のドットや網目模様が入る下写真左のフォームとなります。ところが開花した花は中央写真のalbaフォームが現れました。半透明のセパルとペタルに蕊柱先端が淡緑色です。特徴のあるペタルとリップ中央弁の形状はBulb. garupinumであり、同じニューギニアの半透明色の白いBulb. infundibuliformeとはリップ形状が異なります。さらに調べたところ、Bulb. infundibuliformeのシノニム(同義語)にBulb. hymenobracteumがあり、2012年登録のBulbophyllum infundibuliforme subsp. hymenobracteum に行きつきました、どうやら開花した株はこの亜種hymenobracteumのようです。花全体がこれまでのバルボフィラムには見られないガラス細工のように繊細で印象的です。高温タイプで素焼き鉢にミズゴケの植え付けです。国内マーケット情報はありません。ほとんど知られていない種であり花画像がなければ気が付かないのか、6月のサンシャインラン展に3,000円で出品をしましたが売れ残りました。果たして10株程ある他の株は写真左のBulb. garupinumhymenobracteumのどちらが咲くのか開花が楽しみになりました。



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