栽培、海外ラン園視察などに関する月々の出来事を掲載します。内容は随時校正することがあるため毎回の更新を願います。  2025年度

2026年  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月

8月

現在(29日)開花中の6種

  それぞれの花の詳細は画像下の青色種名のクリックで見られます。

Bulbophyllum unitubum Borneo Dendrobium bracteosum PNG Dendrobium intricatum Thailand
Dendrobium sp aff. endertii Borneo Dendrobium jyrdii Palawan Dendrobium ovipostoriferum Borneo

現在(21日)開花中の9種

 猛暑が続く中での開花種はそれほど多くはないものの、当サイトではこの2ヶ月間で60種程が開花しています。開花種が最も多くなる時期は晩秋から初春となります。下画像でVanda ustiiBulb. refractilinguaAerides quinquevulnera var. flavaおよびDen. sulawesiense coeruleaは例年夏期の開花ですが、他は季節外れの開花です。これら開花種の中でAerides quinquevulnera var. flavaDendrobium sulawesiense coeruleaは希少性の高い種と思われます。前者はJ. Cootes氏著Philippine Native Orchid Species 2011に掲載されています。一方、後者はネット検索では見当たりません。 また下画像ニューギニア生息のDen. lawesii white(alba)は類似性から暫定的にlawesiiとしています。Spur(距))の形状が若干異なりますがCalyptrochilus節としてネット検索する限り、該当する花画像がありません。本名が判明するまでこの仮名を続けるか、sp aff. laweiiとするかを検討中です。

Dendrobium strepsiceros NG  Dendrobium lineale blue NG Dendrobium jiewhoei Borneo
Vanda ustii Luzon Bulbophyllum refractilingue Borneo Dendrobium junceum Luzon
Aerides quinquevulnera var. flava Mindanao Dendrobium sulawesiense coerulea Moluccas Dendrobium lawesii white NG

 当サイトでは上画像のAeridesやDendrobiumを含め、一般種とは異なる多様なフォームや変種を多数栽培しています。変種とされる株は通常数千に1株あるかないかの株となります。ではどのようにしてそれほどの希少種が多数入手できたのか興味のある趣味家も多いのではと思います。変種の入手は現地にて購入した株の中から偶然に見つかることも無いとは云えませんが、現在当サイトが栽培する中でのflava、aurea、coerulea、 albaなど、また当サイトの胡蝶蘭原種ページに見られる同種の中での多様な花の文様や色合いの花株を得ようとすれば、偶然への期待からではとてつもない数の株を購入しなければなりません。現実問題としてそれは不可能です。では現地農園やラン展などに頻繁に足を運び、開花している花の中から見つけ出すことも一つの方法ですが、マレーシア、インドネシアまたフィリピンなど現地のラン園やラン展では変種を特別扱いした株の販売はなく、この方法であっても渡航費と時間のコストを考えれば、非現実的です。いずれにせよ、こうした偶然性を想定した入手行為からでは期待する程の多数の変種は得られません。では当サイトではこれまでどのような手段を用いてきたのか、それは取り敢えず企業秘密として、 あなたならどうする?か、その実現可能性について思い巡らすのも面白いのではと思います。


Bulbophyllum recurvilabreの栽培についての考察

 下画像はフィリピン・レイテ島低地生息のBulb. recurvilabreです。上段左は50㎝長のブロックバークに植え付けられた本種の2023年5月撮影の開花風景で、その他の画像はこの株を今週(19-20日)に植え替えした際の様子を撮影したものです。上段中央は植え替え直前の様態で左画像の開花から3年を経過しており、葉付バルブ数は24個となっています。中央画像からはバルブと緑色のコケにブロックバークが覆われ、僅かな根がその表皮上に見られます。右はバルブの根を覆っているコケやミズゴケを、強いシャワーで洗い落とした後の様子で、多量の根が絡み合いながらバークを覆い尽くしていることが分かります。
 下段左画像は株をバークから取り外し、株の裏面から撮影したもので、多量の根とミズゴケが絡み合って硬化粘土のような状態で、特に中心部はピンセットは差し込めるものの根やミズゴケを摘まむことや表面を剥がすことも出来ません。強いシャワーも効きません。このため植え付け前の作業としては、大きな塊のやや解れ気味の外周の根を1本づつ選び、根周りのミズゴケを取り除くことから始まります。ここで問題なのは如何に根皮を失うことなく密着したミズゴケを除き、長短様々な根を塊から分離する(解す)ことができるかです。根を強く引き抜いたりすれば、スポンジ状の根被や皮層部が剥がれ、細い芯(維管束)だけが残り、植え替え後の根の水分や栄養の保持機能は失われます。こうした表皮の剥離は極力抑えて根を解す作業で、今回は2時間以上を要しました。その結果が下段中央の画像です。注意深く相当な作業時間をかけても2割ほどの根の表皮は失われました。こうした根は表皮が剥離した箇所で切断し、先端部は廃棄となります。根をほぐした後に今回はこれを3株に株分けをし、それらを60㎝長の杉無垢材に取り付けた様子が下段右となります。
 ここで本題となりますが、まず下画像の2023年5月の花株は、2021年5月に炭化コルクからブロックバークに植え替えしたものです。その時の画像は2021年5月の当歳月記に詳細な記載があり、葉付バルブはそれぞれ4個と6個の2株の寄せ植えがされ、併せて10個から成る株でした。これが2023年5月までの2年間で21個のバルブ数に成長し、この時の画像が上段左の花株となります。一方、2023年5月から今日までの凡そ3年間では、下画像上段中央に見られるように葉付バルブ数は24個となります。なぜブロックバークへの植え替え当初の2年間では倍以上のバルブ数に成長したものが、その後の3年間では葉付バルブ数が僅か3個増えたのみとなっているのかが問題です。 その原因は下画像の根の様態から推察されます。
 2021年4月の植え替え時には葉付バルブ10個の株が50㎝長バークに取り付けられ根張り空間は十分に有り、根の多くは重なり合うことなく伸長ができバルブへの水分や栄養が不足なく送られ新芽の増加に繋がりました。しかしバーク面積は限られていることから、2023年頃から次々に発生する新バルブの根は古いバルブの根を幾重にも覆い始め、その影響によって古い根周りの気相率が変化し、皮層部の機能の低下を招いたと推測されます。上段中央画像を細かく見ると、落葉した古いバルブが多数(10個以上)見られます。一方で、葉数の総数はあまり変わっていないことは新芽の発生や成長は問題なく進んでいることになります。すなわちこうした様態は株の外的環境(気温、湿度、輝度、通風)に問題があるのではなく、その株個々の問題(植え付け条件や方法)に起因したものと判断することになります。そこで本種を大株(多輪花)にするには、本種の根は長いことから、縦幅だけでなく個々の根の重複を避けるため、横幅を増すことも重要と見做し、とりあえず今回は対応処理として下画像に見られるように支持材3枚それぞれに株を分けて取り付け、葉付バルブ数を増やした2-3年以内に横幅45㎝程の杉板にこれらを再び寄せ植えとすることにしました。そうした訳で、「多輪花を得るには株の成長と伴に根が積み重ることで生じる根周りの気相率の低下を避ける環境をつくることが基本」が今回の教訓となりました。

Bulb. recurvilabre Leyte Photo in May, 2023 Bulb. recurvilabre Photo in Aug., 2026 Roots at front side of Bark
Roots at back side of Bulb. recurvilabre Untangled roots of Bulb. recurvilabre Bulb. recurvilabre replanted on Cedar board

現在(13日)開花中の9種

 現在開花中の9種を撮影しました。画像下の青色種名のクリックで花の詳細が見られます。画像下の種名について、種名不詳種には「属名 sp aff. xxxx」の表記となっていますがsp aff.とは、sp(species:種)、aff.(affinis:近縁、類似)を意味し、 画像種が種名xxxxの形態的変異(form)、変種(variety)あるいは亜種(subspecies)、または類似種(別種)のいずれかの可能性があることを示すものです。

Dendrobium dianae flava Borneo Dendrobium dianae bicolor Borneo Dendrobium sp aff. flos-wanua Borneo
Dendrobium dearei Borneo Dendrobium treubii Moluccas Isds. Dendrobium boosii Leyte
Dendrobium sanguinolentum f1 Borneo Phalaenopsis lindenii Luzon Trichoglottis latisepala Luzon

猛暑下での栽培について

 国内各地で猛暑が続いています。夜間平均温度が30℃を超える勢いで、エアコン無くして夏を耐え抜くことは人だけでなく、ランも難しくなってしまいました。当歳月記では下記のリンク先(青色の題名をクリック。戻りはリンク先ページトップの「戻る」マークをクリック)に栽培温度とその留意点を取り上げています。

 栽培温度の適正な表記 2018年8月
 猛暑の中の栽培 2024年8月

現在(8日)開花中の6種

 猛暑の中、開花中の6種を選んで撮影しました。

Dendrobium sanguinolentum f1 Borneo Dendrobium sanguinolentum f2 Borneo Dendrobium auriculatum Luzon
Dendrobium fimbrilabium Sumatra Dendrobium paathii Borneo Cleisocentron gokusingii Bprmep

直近の植え替え3種

 画像左のBulb. japriiはニューギニア生息のバルボフィラムで、2022年に公表された新種です。花色は青色種名のリンク先に見られるように、セパル・ペタルは黄赤系から濃い赤色まで多様です。今回はその中から濃赤色の株を選びヘゴ板に植え替えました。
 画像中央は前記Bulb. japrii同様にニューギニア生息のDen. caliculimentumです。株は画像に見られるように長く下垂することから2016年の入荷時は杉皮に、その後に株が1mほどに成長したことからトリカルネットに植え付け、これまで栽培をしてきました。トリカルネットの植え付けは2020年11月の歳月記に詳細を報告しています。一方、長く下垂することからそれぞれの茎の大半は空中に浮かんだ状態となります。その結果、そのらの一部の節から発生する根の多くも活着点が無いまま空中に晒された状態となり、株全体が痩せてきたことからミズゴケを敷いた90cm長の杉板に今回植え替えを行いました。杉板は2枚ですが、重なり合う多数の茎に覆われた中で、茎を避けながら数十本ある根のひとつずつを1mm径の盆栽用アルミ線でミズゴケに押さえ付けつつ、株全体を杉板に取付けていく作業は、トリカルネットからの取り外しを含め1枚当たり4時間以上を要しました。
 右画像は現在種名不詳となっている株ですがBulb. lasianthum yellowの可能性もあり、参考にその花画像を表示しました。海外からの入荷株には小株に細分化されているものや根の状態が悪い株もしばしばで、こうした株は順化栽培により甦生を目指すのですが2-3割は枯れます。また入荷後には、生き存えながらも成長が見られない株や作落ちがひどく小株となり、再起が困難と思われる株なども見られます。これらはトレーや炭化コルクにミズゴケを敷いた上に置かれ、潅水は与えられるものの温室のベンチの片隅で放置状態となっています。ところがそうした株の中にも数年経過した後に何らかのきっかけで急速に成長が始まったり、花を付ける株も僅かながらいます。画像右の5枚の90cm長杉板に取付けられた株は、元株は僅か2株で入荷から5年間は成長も開花も無い状態でした。しかしその後の3年間はベンチ上を這って数倍の大株へと変貌しました。このままではと今回植え替を行ったものです。どんな花が咲くのか楽しみです。

Bulbophyllum japrii dark-red NG Dendrobium caliculimentum PNG Bulbophyllum sp (lasianthum yellow?)

現在(3日)開花中の3種

 上段画像のBulb. penduliscapumは、昨年12月の当歳月記で取り上げましたが知人から預かり栽培している株ではなく、当サイトが2018年7月に入手した株の一つです。60cm長の杉の無垢材に取付けており花序の長さが推測できるかと思います。Coel. kinabaluensisの一般種の花色は透明感のある赤茶色ですが、
下段左のCoel. kinabaluensis flavaは開花時の淡緑色からやがて画像に見られるように淡黄色に変化します。この色合いがこの株固有の特性として繰り返すことから、一般種とは別にflavaフォームとしての専用ページを予定しているところです。画像右のDen. cymboglossumはセパル・ペタルの色は白色で、flavaフォームのようにも見えますが本種は開花から落花時まで色変化が無く白色です。ではalbaあるいはsemi-albaかと云えば、リップの中央弁の基部の芥子色は一般種の色と同じでalba系とも異なります。この色合いが一過性か、この株固有のフォームかは今後の開花で調べることになります。掲載した種それぞれの詳細は画像下の青色種名のリンク先にて見られます。

Bulbophyllum penduliscapum Mindanao
Coelogyne kinabaluensis flava Borneo Dendrobium cymboglossum Borneo

久々の登場となる現在(1日)開花中の3種

 Coel. odoardiは最も人気の高いセロジネの一つですが、当サイトではコロナ・パンデミック前までの販売で小さな株だけが残り、これらを杉板に移植して栽培を続けてきました。画像下の青色種名のリンク先の画像(7月30日撮影)に見られるように、最近は株も大きくなり今回久々に開花に至りました。これからは開花が毎年その良い香りと共に得られると思います。下画像のPhal. giganteaは当サイトにて実生化した株花となります。Bulb. othonisのセパル・ペタルは透明感のある淡黄色が一般的ですが、画像下の種名リンク先に見られる開花時からの純白や比較的黄みの強い色を持つ花は珍しいことから今回撮影(7月30日)し、リンク先の本種ページに掲載しました。この黄みは数日で徐々に白く変化していきます。

Coelogyne odoardi Borneo Phalaenopsis gigantea alba Borneo Bulbophyllum othonis Palawan

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