6月
Bulbophyllum cruentum giantの成長
Bulb. cruentum giantの栽培については昨年8月の当歳月記に取り上げました。2018年の入荷から5年間のクール室栽培では成長も開花もなく、2022年に中温室の中でも比較的高温に近い場所に移動したところ、1年後の2023年6月に初花を得ました。その株は葉付きバルブ数が3個でした。この時の画像が下段左となります。その開花後にサイズの大きなブロックバークに植え替えたところ、2025年には下段中央画像が示す3倍のサイズとなる9個の葉付きバルブ数と7輪の開花となりました。ところが僅か1年後となる今月には、上段及び下段右画像に見られるように葉付きバルブが15個になり8輪の開花、すなわち2023年から今年6月までの3年間で5倍の株サイズに成長したことになります。
一方、下画像から分かるように本種は新芽の伸張方向が上方ではなく、むしろ横に向かう傾向があるようで、すでに先端部のバルブは支持材左右の端に達しているため、開花後には30cm幅の支持材に植え替える予定です。一方、板状の取付け材の上部の空間には一般的に水苔は敷かないか量が少なく、ブロックバークやコルクでは表面の保水性が乏しいことと相まって、水分屈性を持つバルブ(根を含む)が上部に向かう伸張を避けているのではとも考えられます。リゾームの短いバルボフィラムにしばしば見られるこうした様態は今後の調査に依るところです。
現在開花中の3種
現在開花中のデンドロビウム3種を26日に撮影しました。中央のDen. auranthiflammeumは通常、セパルおよびペタルは下垂した状態て開花しますが、今回撮影の花は背景に映る多数の疑似バルブの株の向きからも分かるように、正面を向いて開いている珍しい姿です。
直近の植え替え11種
昼夜を通して温度、湿度共に上昇するこの時期は病虫害防除処理が必須となります。昼間の温室内はこのところ35℃前後となるため、6月からはやや涼しい庭での植え替え作業となりました。しかし浜松佐鳴湖に近いこの地域では毎日が攻撃力の強い蚊との戦いで、吊り下げ蚊除け材では効果の実感が無く、蚊取り線香を身の回りに3-4個置いての作業が余儀なくされています。昨年以来、新たな植え付け材はPaphiopedilumを除き、全種が杉板とチークバスケットの2種類のみの使用です。杉板の水苔はニュージーランド産4Aタイプ、またバスケットは同じ水苔とクリプトモスとのミックスです。下画像には幾つかの画像で杉板上部に白いティーパックが並んでいるのが見えますが、これは固形肥料を入れたもので当サイトでは長年、肥料はグリーンキングを用いています。
現在(23日)開花中の12種
Bulb. sp (sp21)はフィリピンPalawan生息種で、albaあるいはflavaフォームのような色合いを持つバルボフィラムです。画像下の青色種名のクリック先には、5株同時開花の画像を掲載しており可なりの華麗さが窺えます。そこで今回、その掲載画像以上の花姿を得るため5株以上をクランプして大株仕立てとし、90cmx15cmサイズの杉板一枚に植え付けることを計画しています。
上段中央画像のBulb. vinaceumの2つの花は、同じ株でありながら上の花は赤みが強い一方、下の花は暗赤色で色合いが可なり異なります。これは落花間近(上)と、開花翌日(下)の花色の変化となります。
下段のDen. klabatenseは、元株から10cm長ほどの高芽を4-5本取り外し、これらを木製バスケットに植え付けてから2年目での初花となります。
現在(16日)開花中のバルボフィラム6種
Bulb. ocellatum及びその近縁種が現在同時に開花しています。これらはいずれもフィリピンの生息種で、sp1はBulb. pardalotumに、またsp2はBulb. ocellatumのロットに混在して入荷したものです。それぞれの形状やフォームの比較詳細は画像下の青色種名のクリックで見ることができます。
これまでその種名をBulb. abbreviatumとしてきた上段左画像種は2013年マレーシアのラン園より入手し、2014年2月に初花を得、2015年7月の当サイトのMonthly flowerページに初掲載しています。当初その種名のネット情報から本種の生息地はマダガスカルと推測していましたが、入手先からはボルネオ島生息とされたことで、生息地をボルネオ島として現在に至りました。一方、今回の開花を機に調べたところ2017年1月に公表されたBulb.trigonopusと形状が類似しており、また生息地もボルネオ島が含まれることから、この種の可能性が高いと判断し、Bulb. trigonopus名に修正することにしました。
現在(16日)開花中のデンドロビウム6種
今回開花したDen. amboinenseの花サイズは、ドーサルセパルが12.5cm、ペタル11cm、またラテラルセパルは13cmで、これまでの当サイト記録では最長となります。このサイズを超える世界における情報の有無については今のところ不明ですが、取り敢えず本種のページにその画像を追加しました。上段中央のDen. aureilobumは、2017年にCamron Highlandsの道路脇の露天商で入手したもので、この時の状況や種名確定までの経緯は2017年3月及び2020年2月の当歳月記に報告しています。本種についてはDendrobiumあるいはFlickingeriaの属名でネット検索しても情報や画像が少なく、特に下画像が示す鮮やかな色合いのフォームは極めて入手難な種と思われます。現在は6株を栽培しており、全て葉付きバルブ数は1株当たり15個以上の株となります。また本種の大半は葉元に1輪の開花ですが、下画像に見られるような3輪は今回が初めてです。この様態を別角度から撮影した画像は本種ページに掲載しました。
Den. punbatuenseは本種ページのsp aff. 4のフォームに似ているものの緑色が強く、セパル・ペタル面のライン模様も希薄です。本種の5番目のフォームsp aff. 5として掲載すべきか検討中です。一方、Den. sororiumはセパル・ペタルは一般的に黄色あるいは緑みのあるフォームですが、下画像に見られるような透明感のあるフォームは珍しいことから今回撮影しました。
現在(10日)開花中の12種
この時期はほぼ全ての属種で新芽の発生が見られます。同時に気温も上がるため、こまめな潅水と温度管理が必要です。Paph. sanderianumはペタル1m長(左側)の画像です。下画像の撮影はDen. nabawanense(5日)を除き、全て9日の撮影です。
現在(4日)開花中のBulbophyllum graveolens
ニューギニア低地生息のBulb. graveolensは久々の登場となります。本種は下画像に見られるように、一本の花茎の先端部に7cm程の長い黄系のセパルを持つ10輪ほどの花を扇状に展開します。ネットでの情報には、本種は不快な強い匂いがあるとされます。しかし当サイトでは10株程を現在栽培していますが、いずれも10輪以上の同時開花時にあっても、鼻を近づけないと分からない程に匂いは弱く、これは当サイトが栽培する株固有の特性なのか、栽培環境に起因するものかは不明です。これまで当サイトでのバルボフィラムのページでは、そうした状況から無臭としてきたものの微香はあるとのことで有臭と変更しました。
今回本種を取り上げたのは、通常本種はポット植えとされていますが
、当サイトでは
数株を炭化コルクに杉皮を重ねた支持材に取付けており、こうした様態での開花風景は珍しいと思われたためです。また板状の支持材にしたのは、本種のバルブは太く大きく直線的に繋がって伸長するため、やがて新芽はバルブとポット上部の裏面に挟まれ株全体の見栄えが悪くなるからです。下画像は板状支持材に取付けた栽培での現在開花中の12輪です。画像下の青色種名のリンク先にも掲載しましたが、12輪が扇状に同時に展開した横幅は20cmを超えており、また花の色合い効果もあって良く目立ち迫力があります。こうした背景から、開花後には植え替えや持ち運びが容易な杉の無垢材に全株を植え替える予定です。、
現在(3日)開花中の3種:Dendrobium elineae, Dendrobium flos-wanua aff.およびDendrobium kuhlii
Den. elineaeとDen. flos-wanua aff.は1日、Den. kuhliiは先月30日の撮影です。花の詳細情報は画像下の青色種名のクリックで見られます。
Bulbophyllum facetum giganteum
ルソン島中心部Nueva Ecija州の標高800m以上に生息するBulb. facetumが開花しています。本種の一般的な花サイズは7cmとされます。当サイトではこれまで多数のBulb. facetumを栽培してきましたが、その中で10cm超えは1株のみで、現在は他株と区別するため植物に用いられるラテン語の巨大を意味するgiganteumとの付帯名を付けました。このサイズが一過性あるいは株固有の特性かについての調べでは、2024年の最初のサイズ確認から10cm超えは継承されています。下画像右の株は昨年この株を2つに株分けした一つです。花は先月30日の撮影です。尚Bulb. facetumの栽培ですが、2017年末の入荷後に、5株程を高温室にて栽培テストを行ったところ株の弱体化が観測されたことから、現在は全株を夜間平均温度20℃以下の中温室での栽培としています。
Coelogyne pandurata
現在(2日)Coel. pandurataが開花しています。2024年8月に1m長の杉板への植え替えを行い、今年1月には歳月記にも取り上げましたが、一つの花茎に8輪の同時開花を得ました。IOSPEのページ画像に見られるような13輪には及びませんが、凡そ半年で下画像に見られるように今回は11輪の開花となり、13輪超えも間近いのではと思われます。下画像の撮影は1日と2日です。本種はボルネオ島から2014年の入手です。一方、ネットに見られる多くのCoel. pandurataの花画像と本種とを比較すると、リップ中央弁の形状に違和感があり、同じVerrucosa節に含まれるセロジネを時折調べているのですが、その中での類似種としてはCoel. mayerianaがあります。しかしIOSPEによると、Coel. mayerianaは花サイズが小さい(Coel. mayariana:7cm、pandurata: 7.5cm以上)とされており、一方で下画像が示す花サイズは11cmで可なり異なります。こうしたことから当面この種名で進めますが、さらなる検証が必要と思われます。画像下の青色種名のクリックでリンク先に本種の詳細が見られます。今回の開花を機に、これまでの画像の多くを更新しました。