3月
現在(30日)開花中の3種
現在(30日)マーケットではあまり見られない3種を選んで撮影しました。Den. busuangenseはパラワン島北部に位置するBusuanga島に生息するSpatulata節のデンドロビウムで、当サイトではフィリピンから2015年に入手しました。国内外のネット市場ではフィリピン固有種である本種が何故かインドネシア語のサイトに一件見られるのみです。さらに不可解なことは、IOSPEサイトのDen. busuangenseとDen. conanthumのページには同じ花画像が使用されています。当サイトのDen. conanthum(conanthum aff1およびconanthum aff2)は2014年末にマレーシア経由でニューギニアよりpseudo-conanthum名で入手したもので、これらの画像からはリップ先端部の形状がDen. busuangenseとは異なっており別種と分かります。また最も信頼性の高い画像を掲載しているOrchidRootsでの Den. busuangenseおよびDen. conanthumではそれぞれリップ先端部の形状の相違が見られます。現在、フィリピン生息の真正Den. busuangenseは入手難のようで、こうした状況下で類似種のある株を入手する際には予め花形状を確認しておくが必要です。
Den. hymenophyllum flavaは、花を正面から見たDen. dianae flavaと酷似しているものの、後ろに伸びたSpur(距)の先端部が後方に向いているか、反転して前方に曲がっているかで区別できます。画像下の青色種名のリンク先にその違いを示す画像があります。
Bulb. laxiflorumはタイからマレー半島、ボルネオ島、フィリピンなど広範囲に分布しており、セパル・ペタルおよびリップ共に白色の一般種は現在容易に入手できます。しかし、広域種であるが故に地域差は多様で、当サイトのBulb. laxiflorumページにはマレー半島、パラワン、ミンダナオ島それぞれの生息種をその特徴と共に表示しています。これらの中で、下画像に示すリップ中央弁の基部にオレンジ色の斑点のある種は、var. majus名をもつJava生息種とされます。この変種の稀少性は不明ですが、現在入手難な種はセパル・ペタルの透明度が高いパラワン種と、長く細身のミンダナオ生息種です。ミンダナオ種は昨年12月の当歳月記に掲載しました。同じ種であっても地域や変種などの入手難易度と、それに伴う価格はピンキリと云ったところです。
現在(25日)開花中の「giganteum form」 2種
現在当サイトの高温室ではペタルスパン(横幅)30㎝長のPaphiopedilum rothschildianumと、15㎝長のDendrobium anosmum var. giganteumが開花しています。前者は昨年4月に取り上げた32㎝長の株とは異なる株での開花です。一方、今月ぺタルスパンが13㎝のDen. anosmum var. giganteumを取り上げたばかりですが、こちらも別株でペタル一枚の長さが7㎝で、左右のペタルスパンが15cmの株が開花していたことから、両種を撮影しました。Den. anosmum一般種の最大サイズが10㎝とされるのに対し、15㎝は変種名var. giganteumに恥じないサイズではないかと思います。
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Paphiopedilum rothschildianum |
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Den. anosmum var. giganteum |
現在確認した限りでは、左右ペタル間スパンが30㎝以上のPaph.
rothschildianumは8株、同じく13-15㎝のDendrobium anosmum var. giganteumは6株となります。そうした中でPaph. rothchildianumについては、開花から落花までの間で左右のペタルが最も開いた状態を見計らい撮影するのですが、そのベストタイミングを逃した別株も数株あり、下画像はその株花の中からペタル1片のみを撮影したものです。この花のペタル長は17㎝です。この株については、自然体での左右のペタル間スパン32㎝以上を来期の開花に期待することにしました。
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Paph. rothchildianum Petal: 17cm long |
Bulbophyllum schaiblei
OrchideenJournal 24(2):2017(2017年3月15日)に発表されたフィリピン・ルソン島標高1,200m程に生息とされるバルボフィラムが24日開花しました。本種はその花の色合いや模様に個体差があり、当サイトではこれまでBulb. spとして栽培してきました。バルボフィラム・ページにあるsp05も本種の一形態と思われます。当サイトが本種を入手したのは2015年末で、初花を2017年2月に得て同月の歳月記に当時は種名不詳種として掲載しています。今回の開花を機に再度調べたところ、前記ジャーナルにて新種として確認できました。下画像は2018年の入手株でsp05とは別株の開花となります。近年発見の新種故か情報が少なく、IOSPEでは本種の記載がありません。またOrchidRootsには種名はあるものの花画像が未掲載となっています。そのため当サイトでは新たなページ(11枚の画像)を作成し、バルボフィラムリストに本種を追加しました。
詳細情報は画像下の青色種名のクリックで見られます。
本種について前記ジャーナルでは、その生息地をルソン島中部のNueva ViscayaとしBulb. facetumと同じ領域との記載ですが、当サイトが入手した株は現地サプライヤーからはレイテ島と伺っており、生息地が異なることと花模様の多様性から、再確認するまで当サイトのページにあるsp05はそのまま残し、新たに上画像種をBulb. schaibleiとしてバルボフィラムのページに追加することにしました。下画像は入手時の現地サプライヤーからの花写真で、当時は種名不詳種として全てspでした。花色は三種三様ですが、上画像の花はペタル中央の黄色の線状模様が明瞭である一方で、下画像のそれぞれには薄っすらとしているものの同じ模様が見て取れます。前記ジャーナルに掲載の花は下画像左に酷似しています。
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Bulbophyllum schaiblei (Photos by native supplyer)
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下画像はsp05と本種に類似する2種の花を比較参考のため表示しました。
現在(19日)開花中の18種
開花中の花を16日から19日にかけて撮影しました。
Bulbophyllum claptonense aurea, ankylochele, incisilabrumの植替え
リゾームの短い低ー中温タイプのバルボフィラムの植替えを行いました。バルブ同士が密集して増殖する種では、株が大きくなるに従って新しいバルブが他のバルブを乗り越えたり、支持材から浮いた方向に伸長するすることがしばしばで、こうしたバルブの根の多くは空中に晒されることで、その先端部が枯れたり、周りのバルブと絡み合ったりして活着する場所を失うことがあります。このような状態が進むと成長が遅くなり、開花数も減少します。このためこうした様態を伴う株は、適当な場所(少なくとも2バルブ以上含む)で切り離し、伸長スペースのある別場所に位置替えを行うことが必要となります。
画像左のBulb. claptonense aureaは、2022年10月の本ページにて、70㎝長ヘゴ板への植替えの詳細を報告しましたが、この2年半ほどで4バルブが新たに増えたものの、これらが互いに重なり合っていたことや、支持材下部に寄せ植えした子株も新たなバルブが上部株に突き当たる可能性が高くなったことから今回植替えをしました。本種は現在、葉付きバルブが12個となっています。中央はBulb. ankylocheleで、炭化コルクから6株全てを杉板に植替えました。本種は上段花画像に見られるように、大株になり同時開花数が多くなると見栄えが良いことから、重なりあうバルブの切り離しと位置替えのみで株サイズ(バルブ数)はそのままとしました。6株はそれぞれ葉付きバルブ17-24個です。Bulb. incisilabrumも7株の内、炭化コルク植付け5株を杉板に変更しました。こちらは1株サイズを葉付きバルブ15個から20個としました。今後の植替えも大小様々な株サイズがあり、中温タイプ種は300株以上が植替え待ちです。
Dracula species 喜怒哀楽の花模様
前項で泣き笑いのDraculaの花模様を取り上げましたが、ふと、人の感情を表現する「喜怒哀楽」に相応する4つの顔花を選んだら面白いのではと遊び心が沸き、下に並べてみました。多少こじつけっぽいところもありますが、感情をも擬態するかのような植物はDracula属だけであろうと思います。
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喜(joy)
(Dracula venefica red) |
怒(anger)
(Dracula severa yellow) |
哀(sorrow)
(Dracula janetiae) |
楽(happiness)
(Dracula amaliae) |
Dendrobium anosmum var. giganteum
当サイトでは3-4月がDen. anosmumの開花期となります。今回一般種とgigateum種が同じタイミングで開花しているため両者を比較撮影しました。Den. anosmumはその多花性から人気のあるデンドロビウムで、ネットでも多くのマーケット情報が見られます。本種の一般種とgiganteumの現状については2024年3月の当ページにて取り上げました。要点は、マーケットでのgiganteum(ラテン語で巨大を意味する)とされる花サイズの実態が不明で、その変種名に相応しいサイズの具体的な情報が得られないことにありました。IOSPEでは、一般種の花サイズは5-10㎝とされることから、giganteumフォームはそれ以上のサイズであることが理にかない、さらに種名に変種用語「var.」を付帯する以上、その株は一般種とは明確に区別され、遺伝的にもその特性(この場合サイズ)が継承されること、さらに一般種とは異なる地域性をもっていること(一般種と同域内の生息種はvar.ではなくf.)とされ、サイズが成長度合いや環境によって変化(10㎝以下)することはありません。一方でネットには花サイズにメジャーを入れて撮影・公開した画像が見当たりません。基本的にcm単位の花サイズを画像化するには接写撮影となり、メジャーと花はレンズからの同じ距離で撮影することが必須条件で、僅かな奥行方向にズレがあれば正確なサイズは得られません。一方がシャープで他方はピンボケであったり、花が手前で、メジャーが後ろにあればある程、花寸法は実体より大きく写ります。
こうした諸々の背景にあって、当サイトが本種をvar. giganteumとしたのは、入手がフィリピンで一般種と異なる特定地域内からの入荷であること、また2016年から10年近い栽培において株の成長や環境の違いの中にあっても花サイズに変化は無く、サイズは常に継承されていることからです。では、花サイズが一般種とは明らかに異なる大きな株であるものの、var. 定義に必要なサイズ以外の情報が全て揃わない場合の差別化はどうするのかですが、var.を外しDen. anosumum giganteumとすれば、この付帯名は愛称となり、これであってもその株が持つ特徴表現は意図できます。
こうした状況の中で大きな花を得たい人は国内外を問わず入手時には必ずメジャー入りの画像を提供者に求めるべきです。”巨大”さを特徴とする商品にも拘わらず、その寸法写真が提供できないとすれば、定規一つあれば簡単に撮影できる今にちのスマホ時代に、おかしな話です。逆に提供者がその株の迫力のある花姿とサイズを画像で示せすことが出来れば、販促に極めて有効となります。
下画像はvar. giganteumサイズと一般サイズとの比較を示すものです。上下段の左画像はいずれもgiganteumの花です。ペタルサイズは下段左画像に示す6.2cmです。上段右の一般種との比較画像からは、一般株がかなり小さく見えますが、この花サイズであっても左右のペタル間の横幅は9.5㎝あり、一般種としての最大サイズに近い大きさです。giganteumは左右のペタル間の幅は13㎝となります。これら全ての画像は13日の撮影です。(追記:別株で16日現在開花中のgiganteumの花を下画像3段目に追加しました。)
現在(13日)開花中の3種
Bulb. vaginatumは2016年に初入荷したバルボフィラムで、フィリピン固有種であるBulb. surigaenseと似ていますがはペタル及びリップ中央弁の形状が異なります。本種の開花期は当サイトでは2-3月となります。20バルブ程のサイズ株が同時開花するとBulb. medusaeのようにも見えます。Den. amboinenseは春と秋が開花期となります。今回撮影したのは、あまり見ることのない全開した状態に出会ったためです。本種は1日花で早朝の2-3時間しかこのような開花風景は撮影出来ません。Calanthe vestitaの一般種はリップの基部に深紅の斑紋がありますが、そのalbaフォームとされるネット画像には多くで淡い黄味が残っています。当サイトが栽培している albaフォームはリップを含め花被片全てが純白です。撮影はBulb. vaginatumが12日、他は13日です。
現在(11日)満開中の3種
1株あるいは1茎(疑似バルブ)に多数の開花が見られるDen. leporinum、Den. treubiiおよびDen. sp aff. enderitiiを先々月と今月の当ページに取り上げたましたが、いずれも現在これらがほぼ全開に至っていることから、満開の印象もまた異なるのではと再度その風景を10日と11日に撮影しました。
現在(9日)開花中の12種
Bulb. incisilabrumは現在7株栽培しており、2株を大きなブロックバークに、また5株を炭化コルクに植付けています。炭化コルク植付株はそれぞれ20バルブを越えるサイズとなっているため、近々、60㎝杉板に植替える予定です。本種は画像に見られるように多数の同時開花となると、一花のサイズが5㎝程あることから迫力があります。Coel. usitanaは通年で開花していますが、今回の花はリップ側弁の色が比較的黒いフォームであることから撮影しました。意外なことに、本種は10㎝程の大きな花サイズで、1輪花を数か月に渡って繰り返し咲き続ける個性のあるセロジネにも拘らず、その存在が確認されたのは近年(2001年)で、ミンダナオ島Bukidnonの狭い地域にのみ生息しているため発見が遅れたとされます。本種のリップは赤茶から黒に近い色まで多様で、下画像の青色種名のリンク先にいくつかを掲載しています。そのページにある黒色花は現地においてもまず見ることは出来ない稀な黒さかと思います。
Den. maraiparenseは昨年9月、木製大型バスケットに6株をそれぞれ植替えましたが、今回の開花はその後の初花となります。現在それぞれの株には多数の蕾が発生しています。画像の茎にも花の周辺に4個の蕾が見られます。不思議なことに本種の一般情報はネット上で多数見られますが、マーケット情報は国内外共に見当たりません。Vanda deareiは3か月毎に年4回の開花を続けています。
Draculaは、泣いているDracula vespertilioと笑っているDracula veneficaの花顔に今回偶然出会えたので撮影しました。
杉板植替えの5種
昨年8月より植替え時の新たな支持材は、デンドロビウムは杉板あるいは木製バスケットに、またバルボフィラムは全て杉板としています。
下画像は今月植替えを行ったDen. platycaulonで、これまでは
12株程を35㎝長の炭化コルクへ植付けてきました。上段左画像は昨年末の本種の開花画像、右は植替えのため今月炭化コルクから取り外した本種のベアールート株で、疑似バルブは50㎝程に成長し、根の多くが空中に垂れた状態でした。
下段は植替え後の画像です。左が60㎝x15㎝サイズの杉板7枚、右画像奥が45㎝x15㎝の杉板6枚です。画像からは株サイズに対し杉板がかなり大きく見えます。しかし本種の根は、上段右画像に見られるように多数の根と疑似バルブを越える長さに伸長することから、十分な根張り空間と長時間の保湿がより多くの同時開花を得るための要ともなり、広い板面積と共に全面にミズゴケを敷いています。下段の画像は今月6日の撮影となります。
下画像はBulb. championii、 nasica、sp aff. quadrangulare (sp32)およびsp aff. quadrangulare (sp23)の4種で、これらはBulb. nasicaの杉板30㎝x15㎝サイズを除き、他は全て40㎝x15㎝以上のサイズへの植付けです。Bulb. championiiは葉付き50バルブ程の株を2分割し杉板2枚に、またBulb. nasicaは葉付き100バルブを超える株を12-15バルブに株分けし9枚にそれぞれ植え付けました。当サイトでは株を小分けすることは稀ですが、今回は分岐したバルブ同士が重なり合ったり支持材から浮き上がっていることから分割となりました。
一方、下段のsp aff. quadrangulare (sp23)は昨年末に100バルブ程の株から13-18個の葉付きバルブに株分けし、それぞれを7枚の杉板に植え付けたもので画像はその一部です。sp aff. quadrangulare (sp32)も昨年末に葉付き15バルブ程の分け株を6枚の杉板に植替えをしました。しかし本種については植替え後から間もなく古いバルブから落葉が始まり、1か月半ほどで凡そ半数の葉を失いました。通常、植替え後に生じる落葉はあっても古いバルブの1葉程度です。作落ちの原因は、植替え時の病害防除処理は当然行われるものとして2つ考えられます。一つは植替え適期(栽培環境)の問題と、他は植付け方法です。今回の本種の株は植替え前、多くのバルブで支持材から離れた活着のない根が多くあり、この状態が長期間続いていたことから根の生理機能が新たな植付け(ミズゴケで根全体を覆う)環境に対応できなかったと思われます。植替えの遅れや適期を問わず植替えを行わなければならない程に多数の株を栽培している当サイトでは、作落ちの程度は様々ではあるものの、1-2割の株に発生します。通常こうした植替え直後の作落ち症状は1か月以内に発生し、その後2-3か月の安定期を経て、やがて新芽の発生や動きが見られるようになります。下段右の本種株画像は今月6日の撮影で、葉は植替え時の半数近くになりましたが、現在は一部のバルブに新芽の発生が始まっています。ベアールートで入荷する海外輸入株を含め、当サイトでは植替え後の株には順化栽培期間を必ず設け販売しており、順化期間中に古いバルブの落葉や枯れが生じた場合は、新芽の発生あるいは伸長が見られるまで出荷を控えています。
現在開花中の23種
現在(3日)開花中の23種を撮影しました。画像下の青色種名のクリックで詳細画像が見られます。