栽培、海外ラン園視察などに関する月々の出来事を掲載します。内容は随時校正することがあるため毎回の更新を願います。  ARCHIVE

   2019年 1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月 

11月

現在植え替え中のバルボフィラムの一部

 現在、2-3年植え替えのなかったバルボフィラムを中心に植え付けをしています。従来の植え付けは杉皮板や炭化コルクでしたが、現在は炭化コルクに一本化しています。従来と異なるのはコルクのサイズを1.5倍程長くし、またミズゴケの使用量を素焼き鉢植込みのほぼ2倍程にしました。これは株の今後2年間の伸びしろ分を考えたことと、根を常に湿られておくためです。環境によってはその必要が無い場合もありますが、浜松温室ではこれまでの量では、季節によりかん水から次のかん水までの間にしばしば短時間ではあるものの乾くことがあり、特に新芽や根が張る成長期(春と秋)には、そうした株と常時根が湿っている株には成長の明らかな違いがあることが確認されたためです。下写真はBulb. auratumBulb. geniculiferumを除き、国内マーケットでは本サイト以外ほとんど取り扱いのない種を選んでみました。上段左のBulb. denopyllumは当サイトでは2017年5月入手ですが、登録は2018年の新種となっています。栽培情報が無いので加えますと高温タイプです。同じく上段右も高温タイプとなります。下段右のBulb. tollenoniferumは未開化であるため、花はリンク先でご覧ください。バルボフィラムとしては5㎝の大きな花です。これらはすべて販売品で、こうした取り付けは若干コストアップとなりますが価格は従来通りです。

Bulb. denophyllum New Guinea Bulb. unitubum New Guinea Bulb. sp Papua New Guinea
Bulb. geniculiferum New Guinea Bulb. inacootesii Mindanao Bulb. auratum f. aurea Philippines

tollenoniferum花画像

Bulb. othonis Palawan Bulb. sp Sumatra Bulb. tollenoniferum Papua New Guinea

Dendrobium spの開花

 1昨年Den. cinnabarinum angustitepalumを注文していたものの現地ラン園には入荷が無く、代わりにDen. cinnabarinumタイプのpinkの花との説明のDen. spを持ち帰りました。おそらくDen. cinnabarinumと同じボルネオ島生息であろうと思われ、中温室にて栽培を続けていましたが、この株が今月に入りはじめて開花しました。上段写真がその花で、下段は株です。確かに茎や葉はDen. cinnabarinumに似てはいるものの花は全く異なります。小型の花ですが、これまでに扱ったデンドロビウムには無いフォームです。花は美形で果たして未登録の新種かどうか該当する画像を調べる予定です。


現在開花中の花

 開花中の花18点を選んでみました。Den. tentaculatumをaffとしたのは葉形状が一般種が針形に対し、画像の株は葉が短く幅広で線形であるためです。Den. tobaenseはNS11㎝で4輪の内2輪が開花中です。

Bulb. loherianum Philippines Bulb. gusdorfii Philippines Bulb. brevibrachiatum Philippines
Bulb. cornu-ovis Sumatra Bulb. inumctum Philippines Bulb. auratum Philippines
Den. tobaense Sumatra Den. intricatum Vietnum Den. tentaculatum aff. New Guinia
Phal. violacea Blue Phal. lindenii Philippines Luzon Bulb. laxiflorum Philippines Mindanao
Phal. lamelligera Borneo Bulb. jacobsonii Java Bulb. coroliferum Philippines
Den. papilio Philippines Luzon Acacalys cyanea Colombia Oncidium fuscatum Peru

Bulbophyllum williamsii とBulb. sp

 Bulb. williamsiiはフィリピンミンダナオ島Surigao標高1,000m生息の固有種で、当サイトでは2015年末および16年夏に入手しましたが、その後は現地での入荷が無いまま今日に至っています。最初の入荷ロット株は杉皮板に、2回目は炭化コルクに植え付けました。本種は20株ほどしかなく、入荷時は花が未確認であったため、価格表には記載したものの、ラン展等に出品することもなく、そのままで温室を訪問される方に販売してきました。それから3-4年経ち株が大きくなり、植込み材も古くなったため今月植え替えを行いました。それが上段左の画像で右は拡大写真です。2段目はその花です。今回本種の国内マーケットを調べてみましたが、バルボフィラムとしては5㎝の大きな花でにもかかわらず、本サイト以外の情報がほとんどなく、希少性が高いのでは思われます。

 一方上記の入荷ロットの中に、僅かに写真3段目の花が開花したことや、2017年にBulb. elassoglossumとして数株入荷した株がこの花に酷似し、2017年3月と2018年12月にこの花を種名不詳種として取り上げました。Bulb. elassoglossumにはサプライヤーから、最下段の中央と右の花の参考画像も送られてきました。ここで不可解な問題が2点あり、Bulb. williamsiiはミンダナオ島固有種とされる一方、Bulb. elassoglossumはルソン島中央部標高1,400m付近の生息種であり、この不明種がBulb. williamsiiのロットに混ざることは考えにくく、またorchidspecies.comに見られるBulb. elassoglossumとも異なります。送られてきたルソン島Nueva Viscaya地域のコケ林のような中でのin situ(自然界での生息場所)写真が正しいとすると、Bulb. williamsiiの中の不明種は、入手経路の過程で誤って混ざってしまったもので、またBulb. elassoglossumはミスラベルであったと考えるのが妥当ではないかと思います。Bulb. williamsiiと不明種の株を並べた写真が最下段左です。写真の中で左が不明種で、右2株はBulb. williamsiiです。外形上の違いはほとんど無く、不明種はバルブや葉サイズが小型でバルブにやや丸みがある程度です。 ではこの種名不明種は何かが問題です。現時点で未同定種なのか、すでにどこかで発表されているか分かりません。

 さらに困ったことは、Nueva Viscaya標高1,200mはBulb. pardalotumの生息地でもあります。これらの株形状は互いに瓜二つで、花を見なければ区別ができません。すなわちBulb. elassoglossum、不明種、Bulb. pardalotumは生息地、標高がほぼ同じの三つどもえ状態で、そこでこれまで写真3段目の不明種を特定して発注したことが無いことから、敢えて現在、サプライヤーのin situ写真を添付し、この不明種を発注しているところです。ひょっとすると再三のミスラベルで今度は本物のBulb. elassoglossumが入荷するかもしれません。こうなれば笑い話になりますが、希少原種収集ではこうした混沌とした状況が頻繁で種の同定は購入者側でよろしくと云われているかのようです。


Phalaenopsis schilleriana

 現在100株以上のPhal. schillerianaをストックしており、その一部を撮影しました。2月および5月に入手してからの順化栽培も終了し、凡そ4ヶ月後に開花最盛期を迎えることになります。これらは全て野生栽培株で、35-45㎝x12㎝x3㎝の炭化コルク付けで葉サイズにより3,000円からの予定です。炭化コルク、植え付け材および取り付けコストを除けば、株本体の価格としては2,500円相当からとなります。この価格でも実生株と比べれば大きな株となります。実生株と異なるのは、野生栽培株は下写真に見られるように一つひとつの様態(葉形状、葉模様、色合いなど)が異ることが特徴で、これだけの株数があれば花サイズ、色濃度あるいは香りの有無など調べ、タイプ分けも良いかと考えているところです。

Phal. schilleriana

開花中の花6点

 11月現在、温室にて開花中の6点です。上段左の下のAerides magnificaはalbaフォームです。中央のDen. rindjanienseは現在4株が開花中ですが最盛期は2月前後となります。Den. toppiorumは6月からいずれかの株が開花しており絶えることがありません。下段左のPhal. mariaeは赤色斑点の大柄フォームを選んで撮影しました。Den. platycaulonは扁平な疑似バルブが特徴で、同じバルブ形状のDen. lamellatumと同時に開花中です。Vanda merrilliiは一般フォームです。

Aerides magnifica Den. rindjaniense Den. toppiorum subsp. taitayorum
Phal. mariae Den. platycaulon Vanda merrillii


前月へ