10月
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Plurothallis tarantula |
Bulbophyllum gracillimum f. flava
現在Bulb. gracillimumのflavaフォームが開花中です。このフォームはこれまで扱った200株(1株3バルブ換算)以上の中から出現した1株です。下写真上段左は今月植え替えをしたBulb. gracillimumの一部で右はflavaフォームの花です。下段左は一般フォーム、右は上段右の花を拡大したものです。Bulb. gracillimum common form | Bulb. gracillimum flava form |
Bulbophyllum fascinator corazonae
タイ、マレーシア、スマトラ、ボルネオと広範囲に分布するBulb. fascinatorのフィリピンフォームであるBulb. fascinator corazonaeは、ミンダナオ島標高1,000mに生息します。付属名のcorazonaeはPurificacion Orchidのオーナーで、現Philippine Orchid Scciety (POS) 会長名に由来し、当サイトが在庫する株は全て当人から直接入手したものです。Bulb. fascinatorは生息地によって様々な色のフォームがあり、corazonaeフォームは下写真中央に示す黄緑のベース色に、えんじ色の斑点があり、しばしば黒に近い色も見られます。開花は秋から春が多く、当サイトの株は、左写真に見られるように、ラテラルセパル中央から先端部が緩やかにカールしながら紐状に長く伸び、ドーサルセパルからラテラスセパルそれぞれの端間のNSサイズは25㎝を超える大きな花です。右写真は今回植え替えを行った株の一部で、株の伸びしろ分を大きく取り、35㎝長のコルクに、根の乾燥を避けるため厚くミズゴケを敷き取り付けたもので、写真はそれぞれ葉付7バルブ程の株です。本種は下垂する花形状とそのサイズから、ベンチ置きのポット植えはできません。またフィリピン生息種は標高1,000mのため中温タイプとなります。高温でも栽培は可能ですが、開花を得るには中温環境が適しています。![]() |
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Bulb. fascinator corazonae |
バルブ間のRhizomeの長いBulbophyllum. virescensの新芽発生期
Bulb. virescensやBulb. binnendijkiiなどRhizome(バルブとバルブを結ぶ根茎)の長い種は、バスケット、トレーあるいはヘゴ板などいずれに植え付けても、2年もすればリゾームが伸び、新しいバルブはやがて植え付け材から飛び出してしまいます。そのまま放置すれば新バルブの根は空中に伸びたままとなり、余程の高湿度環境でもない限り成長は止まってしまいます。当サイトでは一部をバスケットに植えているものの、多くは60㎝程の長い炭化コルクに取り付け、新たなリゾームの伸びしろ分をなるべく広くとり、それでもやがてはみ出す時期が来れば、株分けして新たな植え付けを行うことにしています。Bulb. virescens |
現在開花中のバルボフィラム4点
多数のバルボフィラムの開花期を迎え、当サイトでは種名不詳種が多いこともあり、これらの中にも入荷後始めて花茎を付けた株も数株に見られ、これからの2-3ヶ月が楽しみです。下写真は現在開花中のバルボフィラム4点です。上段左のBulb. pardalotumはBulb. ocellatumとよく間違えるのですが、リップ先端が扁平で丸みがある一方、Bulb. ocellatumは細く尖っています。標高1,200mの生息種です。写真右のBulb. nasseriはラテラルセパルの長さが5.5㎝ですが、ごく稀に8㎝程の長さの株が見られます。こちらは低地生息種です。Bulb. pardalotum Luzon | Bulb. nasseri Leyte |
Bulb. annandalei Malaysia | Bulb. plumatum f. flava Malaysia |
現在開花中のデンドロビウム4点
気温が下がり一日の昼夜の温度差が大きくなると各種で開花が始まります。現在浜松温室にて開花中のデンドロビウム4種を撮影しました。上段のDen. igneo-niveumは晩秋から春にかけて開花が見られます。写真は7輪の開花です。右は1昨年入手のパプアニューギニア生息のDen. vexillariusでセパルペタルは白色ですが、青色も8株程栽培しています。下段左のDen. dianaeはグリーン系、イエロー系、赤と黄色のツートンカラー系の3フォームが見られますが写真はグリーン系です。2010年登録の比較的新しい種です。また右はフィリピンミンダナオ島のDen. boosiiで、現在が開花最盛期で無数の花が開花中です。写真はその一部です。こちらも2011年登録の新種です。Den. igneo-neveum Sumatra | Den. vexillarious white PNG |
Den. dianae Kalimantan Borneo | Den. boosii Mindanao |
Dimorphaorchis lowiiとVanda floresensis cluster
下写真左は今年5月に入荷したDmrphr. lowiiの順化終了後の現在の画像です。多くの新根がバスケット内に出ており、一部バスケットの下に根が伸び出した株は湿度対策で不織布を巻いています。現在8株あり、一枚の葉長は50㎝以上です。ちなみに属名のDmrphrはDimorphaorchisの公式の略語です。一方、右は2016年入荷のVanda florescensisです。入荷時は伸長50㎝程の2本の茎からなる株でしたが3年間で1m近くまで伸長し、現在ではすでに30㎝-50㎝となった4つの新芽と、合わせて6茎のCluster株になりました。こちらは展示用として栽培しています。Dmrphr. lowii | Vanda floresensis cluster |
マレーシアおよびインドネシアに生息する高価なVanda
フィリピンを除くマレーシアおよびインドネシア生息のVandaの中で、世界のマーケットにおいて比較的高額な種を下写真に取り上げてみました。写真は当サイトにおけるそれらの栽培風景で全て開花サイズの野生栽培株です。Vanda lombokensisiは15株程を、Vanda floresensisは6株、Vanda devoogtiiは5株、Vanda deareiは6株、またVanda foetidaは2株それぞれ現在在庫中です。これらVandaはNTOrchidを除き、国内ラン園を始めシンガポールAsiatic Greenでも現在ネットでのマーケット情報が見られません。Vanda lombokensis (Indnesia Lombok Isd.) | Vanda floresensis (Indonesia Flores Isd.) | Vanda helvola f. flava (Java. Sumatra. Borneo) |
Vanda devoogtii (Indonesia Sulawesi) | Vanda dearei (Borneo) | Vanda foetida (Indonesia Sumatra) |
Dendrobium sp (endertii aff.)のflavaフォーム
今度は歳月記2月に取り上げたスラウェシ島からのDen. spで、Den. endertiiに似たロット株にリップの褐色斑点の無い無地(薄い緑色)のflavaフォームの花が開花しました。昨年12月と今年1月に両ロット合わせて40株ほどを入荷した中の1株です。下写真左は一般フォームで、右が今回のflavaフォームとなります。Den. sp (endertii aff.) Common form | Den. sp (endertii aff.) flava form |
Bulbophyllum inunctum、Bulbophyllum membraniforiumとBulbophyllum maculosum (sanguineomaculatum)
Bulb, inunctumが現在開花中です。本種は主にボルネオ島とマレー半島生息とされており、フィリピンにも生息するものの、orchidspecies.comには記載されていません。これはフィリピンでの発見が近年(W. Suarez氏の画像記録は2007年)であったためと思います。当サイトでは昨年フィリピンからBulb. glebulosumとの株を20株程入荷しましたが、これが全てミスラベルでBulb. inunctumでした。同じAurora州の生息のため取り扱いを誤ったと思われます。バルボフィラムとしては花サイズが12㎝と大きく、またマレーシア種は、セパルペタルのベースが淡いピンク色にベリー色のラインのあるフォームに対し、フィリピン種は下写真のようにベースが黄色で赤茶色のラインやドットが入り、それぞれの色合いは、かなり異なります。フィリピン種はバルボフィラムの中ではその色とサイズから、よく目立つ存在です。生息域は標高500mで高温タイプです。Bulb. inunctum | |
Bulb. membraniforium | Bulb. maculosum (sanguineomaculatum) |
Aerides lawrenciaeとAerides magnifica
現在、Aerides lawrenciaeとAerides magnificaが開花中です。Aeridesの中でAerides odorata、lawrenciae、quinquevulneraはそれぞれに変種やフォームが多く、フィリピンからの入荷にはミスラベルがしばしば見られます。最も簡単な識別はAerides odorataのリップは黄色、Aerides lawrenciaeは花サイズが4㎝以上と他と比べて2倍近い大きさであることです。下写真の左はAerides lawrenciaeで、中央はその花の拡大写真です。実はこれも2年前にAerides inflexaの注文で入荷した中のミスラベル株です。右はAerides magnificaで、これまでAerides odorata Calayanとか、Aerides quinquevulnera Calayanタイプとされていたもので、昨年夏ごろまでは入手難でしたが、当サイトでは本種の入手ルートがフィリピンに新たに確保出来たこともあり、比較的容易となりました。現在浜松温室では20株程を栽培しており、8株に蕾が見られます。Aerides lawrenciae | Aerides magnifica |
Phalaenopsis modesta Sabah red
Phal. modestaの一般フォームはセパル・ペタルが白色ベースに淡い紫色の斑点をもつ小型の胡蝶蘭原種で、斑点模様は様々です。本種は葉下に開花することからヘゴやコルク付けで栽培されています。4年ほど前に、下写真左のセパルペタルのほぼ全体が赤紫(フクシャ)色の稀なフォームをもつ株が1株あり、これを自家交配し、1昨年フラスコ出しを行い現在は右写真のBS近くになっています。国内での本種の開花期は冬から春で、来春には初花が得られるのではと期待しています。花を確認次第、販売をする予定です。Phal. modesta Sabah red |
台風19号
台風19号の強風と豪雨により被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。ここ浜松でも伊豆半島上陸の3-4日前までは、近くを通過する可能性も考えられ、また昨年の24号の記憶もあって温室業者に屋根のビスの点検や天窓のテープ留めなどを依頼し対応しました。お蔭で当温室は目立った損傷もなく無事に過ぎました。記録的強風とのことで、これまで以上に風で飛ばされる可能性のある屋外のものは全て、また多数のランの資材も屋外に置かれており、これらを一つ残らず固定したり納屋に取り込んだりと2日掛かりとなりました。台風が去った後には、今度はこれらを元の状態に戻す作業がやはり2日程続き、昨日15日にやっと終わり、今日明日からランの発送もできるようになりました。ランにとり最も好季節な10月が、温室には最も危険な月になるとは皮肉なことですが、今後とも自然の脅威にはできうる限り乗り越えていきたいと思います。現在開花中の原種
温度が30℃を切る気候になり多くの種で花芽が発生しています。下記写真は現在開花中の原種の一部を撮影したものです。Den. victoriae-reginae | Den. yeageri blue | Den. oreodoxa |
Den. endertii aff. | Den. sp | Bulb. dolichoblepharon |
Bulb. williamsii | Coel. longifolia | Coel, sp |
Phal. bellina wild | Phal. appendiculata | Phal. lindenii |
Bulbophyllum scaphioglossum
本種は2014年登録のニューギニア生息のバルボフィラムで、現在浜松温室にて開花中です。新種のためかorchidspecies.comには記載が無く、栽培方法についての情報はネットからは見当たりません。当サイトでは発見から2年後の2016年10月に入手し、同年の歳月記10月と11月に取り上げました。それ以来3年が経ち、栽培に関するデータもある程度得られたため今回再度本種を取り上げてみました。Bulb. scaphioglossum |
Bulb. speciosum | Bulb. nitidum aff. |
Dendrobium serratilabium Green
Den. serratilabiumはフィリピン固有種でルソン島からミンダナオ島の標高500m - 1,200mに幅広く分布しています。その名Serrateが示すようにノコギリ状のリップ外縁形状が特徴です。昨年12月から発注をしてきましたが、3度目でようやく本物を得ました。本種の疑似バルブ形状はDen. victoriae-reginaeと酷似しており発注初回と2回目の入荷株は全てDen. victoriae-reginaeでした。しばしばDen. serratilabiumにはDen. victoriae-reginaeがミスラベルで混在するようです。バルブ形状からは同定が困難です。1昨年在庫が無くなったための新入荷ですが、当サイトでの本種の最初の入荷は2009年で、今年5月の入荷は10年ぶりとなります。 本種は基部が細く、次第に太くなる40㎝程の疑似バルブをもち、またそのバルブの途中からから発生する新芽のバルブも同じ形状で成長し下垂することから、ヘゴ板等の垂直板あるいはバスケットへの植付けが必要となります。こうしたバルブ形状は同じCalcarifera節のDen. boosii、Den.. chameleon、Den. yeageriなどと共通しており、当サイトでは右写真に示すように炭化コルク付けとしています。 下写真は上下段が同じ株で、3つのフォームを示しています。本種の一般フォームは左に示すセパル・ペタルが薄黄のペース色にそれぞれ5 - 6本の赤いラインが見られます。このラインは花によって濃淡があり、セパル・ペタル全てに明瞭に、あるいは中央写真に見られる、一部に薄く入るものなど多様です。こうしたラインの色合いを反映しているかのように、それぞれの下段画像からは蕾の色から、開花時の凡そのフォームが推測できます。これまでの花の共通点は、中央写真の下段に見られるようにドーサルセパルの背面には赤味が見られることでした。 ところが今月、10年ぶりに入荷した株の一つにセパルペタルおよびリップが薄緑色一色で、全面また背面にも赤ラインのないalbaフォームのような花が開花しました。それが下段右の花です。中央の緑味のある株も右と同じロットです。一方、当初高温室での栽培でしたが今期の猛暑に今一つ元気が無かったため中温室に移動してからの着花であることから、緑味の強い今回のロットはこれまでの一般フォームと異なり、やや高地生息の可能性を感じます。 一般種と花のカラーフォームが異なる例は、当サイトのDen. crabro、今年8月歳月記のDen. cymboglossum、また9月歳月記で取り上げたDen. dianae、など、デンドロビウムにしばしば出現しています。それらに共通する特徴は赤成分が抜け、緑味が増すもので、これらをこれまでalbaあるいはflavaフォーム様態として取り扱ってきました。しかし、厳密にはalbaあるいはalbescensは白色、flavaは黄色、aureaは金色を意味するラテン語で、右写真に見られるような緑色を指す言葉ではありません。 |
Den. serratilabium |
10月のラン
来週7日からは、ようやく猛暑日が去り、 昼間25℃、夜間18℃前後の気温になる予報です。気温が低下し温室の換気扇の稼働率が下がり、窓も占めている時間が長くなると、温室内は一気に湿度が上がります。夕方に散水した葉上の水滴の一部が、翌早朝まで残るのはこの時期で、青々として張りのあるランが見られます。また昼夜の温度差が10℃近くになると、多くのランにとって最も成長が活発になり、春先とともに植え替えの好機でもあります。1-3月に開花の多い胡蝶蘭Phalaenopsis節のPhal. schilleriana原種などにとっては、これからの1-2ヶ月間の施肥等のケアーが有効となります。Den. miyasakii |
Dendrobium yeageri
Den. yeateriはフィリピンルソン島標高1,000m - 2,000mに生息する中温タイプのデンドロビウムです。ブルーの花で知られたミンダナオ島のDen. victoriae-reginaeと隣り合わせの栽培ができます。一般フォームとして本種のセパル・ペタルおよびリップはやや青味あるいは赤味のある紫色ですが、昨年リップが青色の花が開花し、歳月記2018年4月に掲載しました。その後この株は青色が再現することを確認し、数株を趣味家に分譲しました。今度は更に別株でセパル・ペタルの青味がほぼ消えた白い花が出現しました。下写真左は当サイトの一般フォーム、中央が昨年の青リップのタイプ、そして右が今回の花です。![]() |
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Den. yeageri |
Bulbophyllum makoyanum
Cirrhopetalum節のBulb. makoyanumはボルネオ島、マレー半島とフィリピンの生息種とされています。一方、本種名の花画像をネットで検索すると、花形状に纏まりが無く、Bulb. lepidumや Bulb. cumingiiのようにセパルが幅広で短い形状から、それに比べBulb. serratotruncatumやBulb. brevibrachiatumのセパルがやや長く幅細なものまで、明らかに異種と思われるにも拘わらずBulb. makoyanumと名付けられた状態です。その中でフィリピン生息種は、放射線状に伸びた4㎝ x 2mmの極細のラテラルセパルが特徴です。下写真は浜松にて現在開花中(左)の花と、円形に広がったラテラルセパル間のスパンが13㎝の花(右)です。Bulb. makoyanum Philippines |