1.生息分布
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2.生息環境 温度22C-30C、標高450m以下、年間雨量3,000mm - 3,800mm | ||
3.形状 3-1 花 1. 花被片 花被片は淡い紫色で、やや赤あるいは青味のあるフォームが見られる。本種はPhal. violaceaの変種とされてきたが、2014年にPhal. mentawaiensisとしてPhal. violaceaから分離した種とされた。花被片は写真のように全体がPhal. violaceaと比較してややスリムで先端がシャープな形状をもつ。また花茎や葉の形状が大きく異なっており(3-3,3-4項参照)、別種とされながらも類似する種をもつPhal. cornu-cervi系や Phal. fuscata系などと比べると、その固有の様態はMentawai島からの野生種を見る限り明確である。Mentawai島が過って陸続きであったスマトラ島と分離されることにより、スマトラ島内を中心とするPhal. violaceaとは交わることなく進化したものと思われる。開花期は季節の変わり目で開花する傾向があり、夏から秋にかけてやや多い。香りは弱いがPhal. violaceaと同じ。同時に開花する輪花数はPhal. violaceaに比べて1 - 2輪と少ないが、Phal. violacea開花時期以外にも不定期に咲く。
2. リップおよびカルス Phal. violaceaと比較して、中央弁の竜骨突起はやや高く、中央弁先端部はビロードのような質感がある。カルスは2組とされるが、anteriorカルスは先端2分岐の歯状突起(写真左の白色のひげ状のもの)。このanteriorカルスの基部に重なった状態で先端2分岐の短い歯状突起(a1)があり、この構成はPhal. bellinaに似る。Phal. violaceaにもanterior callus基部に2分岐模様が見られるが、a1のような凹凸のある突起にはなっておらす表皮に一体化している。posteriorの基部側には複数の腺状突起(右写真の黄色部)がある。この形状はPhal. violaceaおよびPhal. bellinaとほとんど変わらない。
3-2 さく果 さく果はPhal. violaceaと同じ様態で、違いを見出すことはできない。3-3 変種および地域変異 1. Phalaenopisis violacea v. mentawai ( coerulea)
2. Phalaenopsis. violacea v. mentawai punctatissima form
3-3 葉 Phal. violacea mentawaiの葉はPhal. violaceaやPhal. bellinaに比べて薄く全体に細長い。やや薄い緑色。葉長25cm、幅7cm。この葉形状の特徴でもPhal. violaceaとは区別できる。殆どの株で葉は写真のようにアンジュレーション(波打つ)をもち下垂する。このためポット植えには若苗を除いて適さない。比較的明るい湿潤な川辺や沼周辺に生息しているものと思われる。
3-5 花茎 Phal. violacea mentawaiの花茎は50cm以上となり、栽培に於いて3年間カットしないもので70cmとなっている。Phal. violaceaの花茎はPhal. bellinaと同様に扁平でジグザグに伸長するが、本種は節間が長く円筒形でジグザクとはならず、むしろPhal. pulchraの花茎形状に類似する。この花茎の長さと形状がPhal. violaceaやPhal. bellinaとは異なる特徴となる。茎は一過性ではなく、翌年花茎の先から再び花茎を伸長させる。同時に多くの花は付けず花茎当たり1輪を次々を咲き続ける。
3-6 根 根張りは旺盛でコルク、バスケットなど1年ではみ出してしまう。Phal. cornu-cervi系の株は大株になればクリプトモス・プラスチック鉢に植え換えるが、本種は葉が下垂することと、花茎が長く伸長するため適さない。ミズゴケ素焼き鉢も同様である。 |
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4.育成
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5.特記事項 花茎が本種のように長い一方、花被片がPhal. bellinaのような幅広で丸みがあるものが本種名でネット上で見られたが、これはPhal. violacea mentawaiやPhal. bellinaとの交雑種と思われる。原種専門業者以外からのMentawai島生息種の入手は困難であろう。本サイトでは本種をPhal. violaceaとは変種の関係として取り上げている。Phal. violaceaとは花茎および葉形状に違いがあり、カルス形状もanteriorカルスの基部にかかるもう一つの歯状突起の形状がPhal. violaceaとは異なる。これはMentawai種固有のものか、一方、本種がスマトラ島にも生息するとのネット情報がみられるがスマトラ島内の明確な生息地は不明であり、さらに多くのサンプルでの検証が必要である。 | ||