1.生息分布
| ||||
2.生息環境 温度25-33C。湿度80%以上(Nicobar島)。マングローブ地帯。 | ||
3.形状 3-1 花 インド洋Andaman, Nicobar島に生息し、白色をベースに大きな赤い斑点の鮮やかなコントラストを持つタイプと、全体が赤紫のソリッドタイプなど多様なパターンがある。花名は派手に目立つという意味。2,000年頃までは野生種がごく稀に入荷できたが、その後のマーケットでの本種はほぼ全てが実生株である。本種の白と赤紫のカラーパターンは開花毎に変化し、一過性であり、セパル・ペタルが白色をベースに赤褐色の棒状斑点をもつPhal. tetraspisと同じ特性である。Phal. tetraspisはPhal. speciosaの生息域と共に、Sumatra島に生息しており、古い分類ではPhal. speciosa v. tetraspisとも呼ばれていたが今日ではこの2種は系統分類学で別種とされる。Phal. tetraspisの主な生息地sumatra島には、花被片全体が赤色タイプはこれまで見つかっていないとされている。1. 花被片 花被片の直径は5 - 6cm。中サイズの株では花茎当たり4 ‐ 5輪開花する。花茎は2 - 3本となる。Phal. speciosaの変種にv. christianaとv. imperatrixの2タイプがあり前者は白色のペタルに、セパルと蕊(ズイ)柱が赤紫とされ、一方後者はセパル・ペタル共に全体が紫色とされている。前者はPhal. tetraspisとの交配種の可能性が指摘されている。現実の問題としてマーケットにおいては幾代にわたる実生間の交配によって、この分類は意味がなくなっておりフォームは大きく下記の3種類に分かれる。
2. リップおよびカルス 中央弁は紫色で、先端部には密集した白色の繊毛がある。カルスは2組タイプでposteriorカルス、anteriorカルスともに先端は2分岐している。リップおよびカルス形状に関しては赤紫色のリップ中央弁の色を除けば、Phal. tetraspisとの形状の違いを見つけるのは困難である。花粉魂は他の種の多くがオレンジ色であるのに対してクリーム色で白色に近い。
3-2 さく果 写真の子房は長さ10 - 12cmで胡蝶蘭の子房としては長い方。
3-3 変種および地域変異 下記の2変種が挙げられているが、実態の情報がない点で存在が不明である。またPhal. speciosaの中にも花被弁に占める赤色と白色の配色割合は、個体差あるいは年度毎に大きく変化し、ダークソリッド色も時折出現する。Phal. tetraspisにも赤色斑点が含まれるが、Phal. tetraspisでは斑点が線状であるのに対して、本種に線状斑点はなく、円形である点は異なっている。1. Phalaenopsis speciosa f. christiana Columnも紫色であることが特徴とされる。 2. Phalaenopsis speciosa f. imperatrix 花被片全てが赤紫色であることが特徴とされる。下写真は赤色が濃い全面赤紫色のPhal. speciosaである。
3-4 葉 葉は長楕円形で、長さ25 - 35cm、幅7 - 8cm。葉の厚みは胡蝶蘭のなかでは中厚からやや薄い。写真はPhal. speciosa f. christianaとして入荷した野生株である。葉は下垂する。ミズゴケやミックスコンポスト栽培での経験を持つが、根の伸長が良くないため1年ですべてコルクとヘゴ板に移植した。コルクあるいはヘゴ板が成長は緩やかであるが順調に育つ。本種はPhal. tetraspisと比較されるが、葉形状で見ると本種の葉はPhal. tetraspisと比べて幅が細く、先端がV字に尖っている。
3-5 花茎 花茎は20 - 30cmで、1年に2本程度を新しく発生する。自然界では花茎は1mを越えるものがあるとも云われるが、これはPhal. pulchraの見誤りであろう。野生種と言われる株でも30cmを越える花茎はこれまで見られない。葉は下垂することからポット植え(ミズゴケと素焼き鉢など)は適さない。
3-6 根 根はPhal. amabilis、Phal. gigantea、Phal. cornu-cerviなどと比較して1/2程度細い。根張りは旺盛でヘゴ板にはよく活着する。コルクは比較的大きなサイズが好ましい。下写真は野生株のコルクへの取付順化後の新芽で、やがてコルクに活着が始まる。
| |||||||||||||||||||||||||||||||
4.育成
| |||||||||||||||||
5.特記事項 Phal. tetraspisとの比較をPhal. tetraspisのページに記載。 | ||