1.生息分布
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2.生息環境 海抜50-900m、高温多湿。葉形状から比較的開けた川や沼周辺に生息するものと考えられる。 | ||
3.形状 3-1 花 1.花被片 白色をベースに青紫、赤紫、淡紅、薄青などのグラデーションのある斑点やパターンを花被片の基部から中央にかけて帯びる。花径は2-3cm。ボルネオ島での花期は5-7月と9-11月とされるが、国内の温室栽培における経験では3月から6月となる。花名は葉の下で咲く花から、「控え目な」という意味。花茎は葉の下に伸長し、花はPhal. inscriptiosinensisやPhal. javanicaなどと同じように葉の下に、花茎当たり通常3 - 4輪つける。上の写真は多数の花茎に全体で20輪以上の花をつけたクラスター株である。花茎は十分に成長すると1株当たり3 - 4本発生し、茎当たりの輪花数も増す。下写真の上段と中段左はボルネオ島カリマンタン、その他はサバ生息種である。Sabah産は漆喰のような香りがあり朝によく匂う。カリマンタンからの入荷株はほとんど香りがない。
2. リップおよびカルス 中央弁は赤ー青紫色で花被片基部の色と同じ色合いをもち先端部が白い。中央弁は緩やかな凸型で、先端部に僅かな短い専門が見られる。竜骨突起も小さい。リップ側弁は黄色の班がある。 カルスは2組でanteriorおよびposteriorともに先端が2分岐した歯状突起である。
3-2 さく果 さく果は長さ6-7cm。野生種での自家交配で容易に種が得られる。また難発芽性も見られない。3-3 変種および地域変異 1. Phalaenopsis modesta f. albaリップ側弁の一部が黄色であることを除いて全体が白色。写真はボルネオサバ生息種。
2. Phalaenopsis modesta f. flava? 花被片が緑でリップ中央弁および側弁基部が黄色。
3-4 葉 葉は倒卵形の楕円形で葉長15-25cm、幅6.5cm。葉数は6-8枚。入荷野生種では長さ30cm、幅8cmが見られるが、温室栽培では30cmまではいかないようである。胡蝶蘭のなかでは薄葉の方であり、明るい湿潤な場所に生息しているものと思われる。栽培種は一般的に上段に見られるように黄緑色であるが、野生種の中には下写真中央のように濃緑色が多い。
3-5 花茎 花茎は細く、大株になると5本以上発生する。人工栽培環境では葉の長さを超えることはなく15cm以下。花が終わっても花茎は枯れないものがあり、翌年再び先端に花を着けるが、新しい花茎に比べて輪花数が減る傾向がある。下写真右は花茎が異常に長く(30cm以上)伸長した例外的なフォームで、自然界では一般的に見られるのかも知れない。
3-6 根 ヘゴ板やコルクでは根張りは盛んで四方八方に広がる。花が葉下に咲くことからコルクやヘゴ板がよく、ポット植えは適さない。
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4.育成
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5.特記事項 20株以上栽培している中で初花から凡そ3年後の株で、さく果は4ヵ月以上保持され受粉が可能となった。若い株では胚の生成が難しいのかも知れない。タネは非常に小さい。 | ||