Phalaenopsis mannii

1.生息分布

インド(北東部)
ネパール
ベトナム
ブータン
中国

2.生息環境

 海抜500‐1500m、温度10-30C。湿度60-85%。川周辺の常緑広葉樹皮の粗い木に生息。

3.形状

3-1 花

1. 花被片
 花被片は蝋質で、黄緑色をベースにダークブラウンあるいは赤褐色の点や棒状斑点が全体に入る。花径3cm。花茎に5-10輪程が同時に開花する。一つの花茎に20輪以上が開花した写真もあり、一般的に多花性である。開花期は晩春から初夏。香りはない。花名は収集家G. Mann名に由来する。

Flowers

2. リップおよびカルス
 リップ中央弁の先端は白色の扇(あるいは錨)状で外周は細かな鋸歯状の刻みが入る。先端の中央部は凸面で僅かな細毛ある。中央弁の基部からはPhal. cornu-cervi系と同様の棒状突起が伸びる。Phal. borneensis, Phal. pantherinaと同じpolychilos節に分類されている。カルスは2組でanteriorカルスは長く伸びた先端2分岐の線状突起、posteriorカルスは複数の腺状突起をもつ。

Lip and Callus

3-2 さく果

 未収録

3-3 変種および地域変異

 1. Phal. mannii f. mahogany / black
  ダークあるいはマホガニータイプと呼ばれるもので太く濃い茶ー茶褐色の斑点がある。下段左写真はSian Lim氏収集のダークタイプであり2006年入手、一般種のカラーフォームとは可なり異なる。

Mahogany form
Black form
Midlobe tip of mahogany form

 2. Phal. mannii f. flava
  リップが白色。花被片全体が黄色で、斑点はない。入手は比較的難しいが台湾やUSAから実生の入手ができる。


3-4 葉

 葉は黄緑色で葉長18-20cm、幅5.5cm。厚みがあり固い。

Leaves

3-5 花茎

 花茎はほぼ葉と同じ長さをもつ。

Inflorescence

3-6 根

 根は銀白色で太く丸い。表面が滑らかなコルクなどは活着が悪い。葉の大きさに比べて小さめのポット植えも可能である。


4.育成

  1. コンポスト

    コンポスト 適応性 管理難度 備考(注意事項)
    コルク、ヘゴ、バスケット 特記事項参照
    ミズゴケ 素焼き
    クリプトモス 素焼き/プラスチック

  2. 栽培難易度
    容易。

  3. 温度照明
     胡蝶蘭のなかでは中-高輝度。

  4. 開花
     特記すべき事項はない。

  5. 施肥
    特記すべき事項はない。

  6. 病害虫
    病害虫には強い種である。

5.特記事項

 コルクやヘゴ板への取り付けは、根の周りに十分なミズゴケやヘゴチップを巻き取り付けたほうが良い。根が丸く太いため活着が遅く、根に十分な水分を与えることができないと成長が芳しくない。クリプトモスやヘゴチップを用いたポット植えでもよく成長する。