Phalaenopsis honghenensis

1.生息分布

中国(雲南)

2.生息環境

  海抜2,000m、温度0‐25C。湿度60-80%

3.形状

3-1 花



1. 花被片
 花被片は花径2.5-3.0cm。淡い紫あるいはピンク色で基部がやや濃い。稀に白地や青味の強い花被片がある。短い花茎に2-3輪が開花する。多くても5-6輪程度であろう。 花期は春。Phal. florensisの匂いを弱くしたような香りがある。

Flowers

2. リップおよびカルス
 リップ中央弁(midlobe)はフクシア色に白のストライプが入る。側弁は紫と黄色系。カルスは2組でposteriorカルスはオレンジレッド色 - ディープピンク色で先端2分岐の短く膨らみのある歯状突起(写真中央)である一方、anteriorカルスは中央弁ベース色と同じ。中央弁全体としてスリムであり、先端部には同節他種のようなフレアー状の縁は見られない。

Lip and callus

3-2 さく果

 さく果は緑茶褐色で細長く、6筋の溝が入る。花被片は枯れ縮んで落ちる。4ヶ月で取り巻きができる。

Seed Capsule

3-3 類似種

1. sp aff. honghenensis (1)
  葉やリップ中央弁(modlobe)はPhal. honghenesisと同形であるが、花被片がやや細いこと、側弁(side lobes)が一般種は長方形とされるが、この種は細長い三角形状で、左右の側弁が互いに折りたたむような様態であること。またカルス形状も異なり、個体差や地域偏差の範囲を超えている。

Subgenus Aphyllum sp aff. honghenensis

3-4 葉

 葉長7-8cm。幅2.0-2.5cm。濃緑色で毎年1-2枚程の新葉がでるが、古葉は長く続かず全体としては3-4枚と少ない。

Leaves

3-5 花茎

 花茎は茶褐色で2.5-3.0cm長。一過性で花が終わると枯れる。

3-6 根

 株の大きさに比較して根は活発に伸張する。活着した根は扁平となり表面は銀白色で不規則な皺が入る。根に葉緑素をもつためコルクあるいはヘゴ板への取り付けが必須であり、根を埋めて光が当たらないミズゴケやミックスコンポストには適さない。

Roots

4.育成

  1. コンポスト

    コンポスト 適応性 管理難度 備考(注意事項)
    コルク、ヘゴ      
    バーク 半透明プラスチックポット -   栽培難易度参照
    ミズゴケ 素焼き    

  2. 栽培難易度
    やや難。
    現地では(半)透明プラスチックポットと大粒バークでの植え付けが良くみられる。Aphyllae亜属は支持体に活着した根の表裏は生理機能が異なり、支持体に活着した面は水分や栄養分の吸収、一方空気に触れている表側は固い皺のある緑色で、葉緑体をもち光合成をしていると考えられる。このためポットに植え付ける場合は光を通す半透明プラスチックが有効となる。またポットでの深植えは常に根がバーク内に埋もれたり、水分過多になって、光が当たらない問題があり、株元(根元)を2-3㎝バーク面トップから浮かした植え込みが良いとされる。

  3. 温度
    中温。本種は海抜1,500m以上に生息することから、胡蝶蘭のなかでは低温栽培(25℃を越えない)に適すると思われるが、夏季は28℃を長時間超えないこと、冬季の夜間最低温度は15℃程度に置くことで3月から4月に花を付ける。冬季から開花までは温度があまり上がらない明るい場所が好ましい。

  4. 開花
    花茎が出てから最初の花の開花までは2月程度と早い。

  5. 施肥
    特記すべき事項はない。

  6. 病害虫
    病害虫には強い種である。

5.特記事項

 Aphyllae種は葉や根からではなく、開花した花を見なければ同定が困難であり、このためミスラベルが頻繁に発生する。