1.生息分布
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2.生息環境 海抜200m以下。温度23-32C、湿度80-90% | ||
3.形状 3-1 花 1. 花被片 花被片はクリーム色あるいは薄黄色をベースに茶あるいは赤褐色の斑点や棒状斑点が入る。蝋質で固い。この班点の模様が象形(ヒエログリフ)文字に似ていることが名前の由来。花径は6‐7cmと比較的大きい。花茎が3‐4分岐し、それぞれの茎に2‐3輪の花をつける。それぞれの花は1か月以上維持され、胡蝶蘭のなかでは稀な柑橘系の良い香りを放つ。開花期は晩春から夏。
2. リップおよびカルス リップ中央弁は楔形扇形状で、先端から中央にかけて繊毛をもつ。カルスはanteriorとposteriorの2組(下写真右の1と2)とされる。anteriorカルスは先端2分岐の歯状突起。posteriorカルスは複数の歯状および腺状突起からなる。この腺状魂には2分岐突起が2-3組見える。下段左写真では腺状魂2から2分岐突起2aが分離したように見えるが、中央写真ではこの突起は腺状魂と一体であることが分かる。一方で、anteriorカルス1の上に被さるように先端2分岐の突起3があり、このような構造は他の種にも多く見られる(突起3はPhal. bellinaなど)。本種が2組のカルス構造とすれば、2よび2aがposteriorカルス、1および3がanteriorカルスに属するものとなる。さらに右写真では腺状魂2から分離したような突起4がある。こうした視覚的に多様なカルス構造が、同一種に見られることはPhal. cornu-cervi、Phal. fasciata等、他の多くの種においても同様であるが、形状とカルスの数を定める基準は不明瞭な印象を受ける。
3-2 さく果 さく果は交配から3ヶ月後の子房を示す。鮮緑色。深く大きな6筋の溝があり、花被片は写真のように緑色に変化し、縮み枯れ落ちることはない。写真はflavaフォームの子房である。
3-3 変種および地域変異 1. Phalaenopsis hieroglyphica f. flavaflavaやalbaとされる花フォームには白あるいは薄黄色のベース色にPhal. hieroglyphicaの名の由来であるヒエログリフ文様の黄色の斑点が特徴。しかし多くはこの斑点が色褪せていたり、単なる棒状斑点であったりと何代にも及ぶ交配の結果と思われる変化が感じられ、美しいフォームは中々見ることができない。下写真のflava種は2018年入手の野生株で、黄色の文様がよく出ている。 2. Phalaenopsis hieroglyphica f. alba (semi-alba) 花被片斑点の一般色は褐色から赤褐色であるが淡黄緑色となる。
3. Phalaenopsis hieroglyphicaとlueddemannianaの中間体 ヒエログリフ文様とリップ形状が両者の中間に位置づけられる。こうした花被片の文様から、現地ではPhal. hieroglyphicaとPhal. lueddemannianaは同一種で変種あるいはフォームの違いと主張する人も多い。 3-4 葉 葉は(披針状)長楕円形。葉長20-40cm、幅7-10cm。NBS株の栽培では葉は立ち性で左右上向きに展開するが、写真が示すようにフィリピンからの入荷時の野生株はすべて下垂しており、自然界では葉は下垂して生息している。トレーダーからの入荷時点の葉状態では、フィリピン原産であるluddemannianaグループのbastianii、 fasciata、 hieroglyphica、 luddemanniana、 mariae、 pallens、 pulchra、 reichenbachianaのそれぞれを区別することは難しいため、これらの購入ではミスラベルが多発する。入荷後1年程度の栽培で、葉はPhal. mariaeは濃緑色の細長に、Phal. fasciataはやや丸みで小型の違いがでる。
3-5 花茎 花茎は、Phal. cornu-cerviの扁平とは異なり断面は丸く15cm長。2-3本同時発生し、それぞれに4-5輪の花を付ける。開花終了後、花茎をそのままにすると翌年再び先端から花芽が発生する。
3-6 根 根は太く、活着すると扁平となる。張りは旺盛で活発であり、コルク付けでは大きなサイズが必要となる。根張りの空間が小さいと大株にはならない。 |
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4.育成
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5.特記事項 Phal. lueddemanianaのグループは最もミスラベルが多い入荷種である。特に本種の中にはPhal. lueddemannianaとの中間様態が見られ、分類が困難な株がしばしば見られる。albaタイプは稀に実生が市場で見られる。 | ||