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栽培、海外ラン園視察などに関する月々の出来事を掲載します。内容は随時校正することがあるため毎回の更新を願います。  2021年度

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9月

サイトの改版

 現在、当サイトでは改版を進めており、このため一部の原種のリンクアドレスの変更に伴い、過去の歳月記に記載している画像下の青色種名からの該当種へのリンク(Vanda、Aeridesなど)ができないことがあります。改版終了までに数日かかるかと思います。トップページからそれぞれの種や情報を得る手順はこれまでの通りです。なおトップページの属別メニューから花画像(サムネール)を開き、これまでは画像下の「詳細情報」をクリックして各ページを開いていましたが、この文字が小さくクリックし難く、改版ページでは画像をクリックする方法としました。サムネール画像は1段当たりの配列を7種から6種とし、画像をやや大きくし、さらに詳細情報ページの全ての右上に「戻る」クリックマークを付け、これを有効にしました。

 改版の目的は、花画像サムネールページがphpというWeb言語で記述されたファイルであることから、サムネールから種名選択し詳細情報を得た後、再度サムネール画像へ戻ることができなかったり、phpファイルは検索エンジンに不向でした。これらを解消するため記述手段を替える(全種で終了)ことと、さらに目的の原種までのアドレスパスが現在長く、例えばデンドロビウムdeleoniiの例で、ドメイン名/products/dendrobium/info/info_deleonii/indexとなっています。これをinfo/info_deleoniiのinfoを排除し、パスを簡素化するためです。改版ではVanda、Areides、その他の原種、それぞれ3点のページアドレスを見て頂くと分かりますが、今回の改版でこれらにはinfoが含まれておらず、パスは、ドメイン名/products/Vanda/種名/indexと短くなっています。しかしここで大きな問題があり、当サイトの胡蝶蘭、デンドロビウム、バルボフィラムの多くのページがすでに、日本語での記載にも拘わらず、Google検索結果でトップページの上位に位置しており、世界中の多くの人々からアクセスされていることが分かります。その最も大きな要因は、属種それぞれに多くの写真(多様なフォームや類似種比較画像)があり、また簡潔な箇条書きの解説で自動翻訳が容易であることではと思います。そうした状況においてアドレスパスを替えることは検索サイトからの現時点のアクセスができないことになります。これを防ぐには”アドレスが変わりました。数秒で移動します”と云った処理があり、一括ではなく個々の属種毎に順次そうした方法で、全種のアドレスパスを短くすることにしました。今回、Vanda、Aeridesおよびその他原種メニューの3点に限り、先行して短いパスとしたのは今のところ種類が少ないことからです。こちらも半年から1年後には検索でのトップページに登場すると思います。

 ちなみにorchidspecies.com(IOSPE)でのアドレズは上記のデンドロビウムdeleoniiの例では、ドメイン名/dendeleonii.htmとパスが極めて短くダイレクトです。すなわち同じ一つの階層に全種をファイル化していることになります。ページフォームを一種類に限定し全種をxxxhtmlとすればできますが、では写真を複数表記にする場合は?と見てみるとドメイン名/orphotdir/denddeleonii.jpgになっていおり、パスが一つ増えています。IOSPEは種名リストからのアクセスのみであり、もし趣味家がデンドロビウムが好きで、種名は分からないので、まず花を見て好みの種を探したいとすることはできません。そのためにはネットでまず’デンドロビウム原種’で画像検索し花写真を探し、種名が分かった後にIOSPEでその特性を調べることになります。こうした煩雑な手順を避けるためIOSPEが属別種別毎の様々な表示手段を講じようとすれば、必然的にファイルは多様化し、階層的なファイル構成が管理上必要となり、結果、パスは増えることになります。良し悪しは兎も角、それぞれ長所短所があります。

 ところで準備中の会員ページは、会員専用で検索エンジンとは無関係なので、パスの長さは問題にならないものの各種へのアクセスは例えばデンドロビウムではドメイン名/species/dendrobium/deleonii/indexとしています。productsをspeciesとしてこのパスを残したのは、この階層の名前を換えることでspecies(原種)だけではなく、フォーラムや会員用分譲株などのページへのトップ階層にもするためです。

 難しい話になりましたが、改版の目的は長期的に見てネット検索で、よりヒットされやすくするためと、またサムネール画像ページが現在のネット検索で見られるリストの表示ではなく、直接画像を表示できるようにしたり、またサイト内のページ間の移動操作をスムーズにするためです。

現在(22日)開花中の15種

 ようやく秋らしくなり温室内の気温も夜間18℃ - 昼間33℃程になると高温室では殆どの株で一斉に新芽が現れ、伸長し始めます。例年と変わりませんがデンドロビウムを中心に15種を撮影しました。画像下の青色種名のクリックで詳細情報が見られます。下写真のDen. leporinumは2月から3花茎に7か月間順次咲き続け、今季最後の1輪です。

Dendrobium subclausum New Guinea Dendrobium lawesii white New Guinea Dendrobium sulawesiense Moluccas
Dendrobium vexillarius v. retroflexum NG Dendrobium serratilabium flava Leyte Dendrobium cymboglossum Borneo
Dendrobium sp aff. punbatuense Borneo Dendrobium mussauense Bismarck Arch. Dendrobium leporinum New Guinea
Dendrobium ovipostoriferum Borneo Dendrobium polytrichum Luzon Dendrobium bullenianum Luzon
Aerides magnificaCalayan Phalaenopsis celebensis Sulawesi Bulbophyllum patella PNG

  9月末から10月末までは植替えの最適期であり、当サイトでは前回の植付けから3-4年目を迎える吊り下げ株も多いなかで、この1年間はミズゴケの入手ができず、ままなりません。ミズゴケの耐用年数は3年程とされ、それを過ぎると保水力が低下します。置肥などを定期的に与えている場合では塩基類の蓄積によって植込み材の劣化も早くなり、さらに早めの交換が必要です。資材業者によると、来年もミズゴケ入荷の目途が立っていないそうです。取り敢えず別手段を考えるとして、温室内湿度(特に夜間)を如何に高めるかで凌ぐしかありません。

 一方で、日本だけでなく、フィリピンやマレーシアも、新型コロナに対する入出国制限が10月頃から緩和される見通しであり、ワクチン接種が済んでいる人はビザなし入国を検討中とのことで、コロナ前の状態に戻るようです。こうなれば来年早々からは3年前のように3ヶ月おきに出かけられるようになるかも知れません。Withコロナとは言えやっと待望の日が近づいてきた感がします。

ネット情報に見るCoelogyne tomentosa

 先月末から開花していたCoel. tomentosaが、満開から3週間を超えたところで散り始めました。本種はボルネオ島、マレー半島、スマトラ島などの標高1,000m以上に生息する中温タイプです。下写真はマレーシア、ゲッチンハイランドの生息種でマレーシアの趣味家から入手しました。花は長い花茎に30輪程が開花し、開花直後は淡い黄緑色から日が経つにつれ黄色味が強くなっていきます。リップ中央弁の先端部1/3にある皺襞状の突起が特徴です。今回本種を取り上げたのは、しばしば指摘しているorchidspcies.com(IOSPE)の本種情報に気になる点があるためです。花形状には違和感はありませんが、ページ内に、”The flowers are scented and do not last long and are delicate on a terminal, to more than 15" [37.5 cm] long, ...inflorescence arising with a new pseudobulb growth with a zig zag rachis ...”とあり、内容は花の寿命が短いことや花軸はジグザクとのことです。この英文解釈が間違っていなければ、前記したように当サイトでは花寿命(1輪の落花も無く満開状態の期間)は3週間程続いており、果たして3週間の花寿命がなぜ短いのか?との疑問で、短命花と云えばせいぜい3-4日と思ってしまいます。一方、他のセロジネの花茎に見られるジグザク形状とは異なり、下写真左が示すようにほぼストレートであること、またバルブ基部側の最初の花と花軸先端部の花までの長さは下写真右で70㎝あり花数は30輪です。IOSP記載が正しければ当サイトの株は別種となります。本種の詳細は下画像の青い種名のクリックで見られます。

 株それぞれの部位の長さや微妙な形状の違いは、地域差や個体差、さらに大きな要因は栽培環境に依ることが考えられます。例えばWikipediaの本種ページでは、おそらくまだ若い株なのでしょうか、花茎は12輪で花茎の長さも30㎝程度です。本種の俗称として、IOSPEでは毛むくじゃらな(hairy)セロジネ、一方でWikipediaでは首飾り(necklace)セロジネとされており、前者は中央弁先端部の突起形状を形容したものと思われるものの、後者の’首飾り’は形状のどこを指すのか分からず(セロジネで首飾りと云えば、Coel. monilirahisの数珠状の花軸を思い浮かべる)、敢えて譬えれば後者は、中央弁の細かな突起とその色合いから、白い縁取りで黄金細工されたネックレス・ペンダントと云ったところでしょうか、どちらもしっくりしません。

 これから興味あるランを入手しようとする趣味家や現在栽培中の人にとって種を評価する場合、一つの情報だけでなく可能な限りネットなどで多くの情報を集め、その種の特性や特徴を理解した上で入手したり、栽培することが必要で、その栽培の結果、想定とは異なる様態が見られた場合、その原因は何処にあるのかを調べることも原種栽培の面白さや楽しさではないかと思います。

Coelogyne tomentosa

Bulbophyllum cleistogamumに見る花色のバリエーション

 Bulb. cleistogamumはボルネオ島、マレー半島、スマトラ島、フィリピンなどに広く生息する着性および地生ランです。花は白色をベースに赤褐色のストライプ模様を持ち、左右ラテラルセパル間のNSは4.5㎝ほどに対しペタルは極めて小さく、バルブ基部から発生した50㎝程の細長い花茎の先端に開花します。開花は1輪で、花が終わると間をあけて次の花と、3輪程続いた後に花茎は枯れます。現在当サイトでは、マレー半島(ボルネオ島の可能性有り)、キャメロンハイランドおよびフィリピン生息種を7年近く栽培しており、今回花色が異なる2種類を下写真に取り上げました。こうした色などのフォームの違いが個体差あるいは地域差なのかは、より多くのサンプルが必要と思われます。写真右のキャメロンハイランド入荷種は、ラテラルセパルがほぼソリッドな濃赤(ガーネット)色で、またペタルは他の地域種がラテラルセパルに沿って前屈みてあるのに対し、写真に見られるように左右に開いている点が異なります。花画像下の青色種名のクリックで詳細画像にリンクします。

Bulbophyllum cleistogamum マレー半島 Bulbophyllum cleistogamum キャメロンハイランド

9日現在開花中のデンドロビウム6種

青色種名のクリックで詳細画像が見られます。

Dendrobium calicopis Malaysia Dendrobium dianae_flava Borneo Dendrobium annae Sumatra
Dendrobium klabatense Sulawesi Dendrobium sanguinolentum (Kalimantan) Dendrobium sanguinolentum Borneo

(続)植替え後の成長

 下写真は植替え時と、その1-2年後の6種の株の成長を示した画像です。株画像下の青色種名のクリックでそれぞれの花が見られます。写真上段が植付け時、下段が現在(9月8-9日)の撮影です。これら画像からは、6種いずれも植付け時に、取付材の1/3程度を伸びしろ面積として設けたものの、株サイズが2-3年で越してしまうことが分かります。最下段右のTrichoglottis atropurpurea flavaは1年未満で約25㎝ほど伸長しています。今月撮影の一部の株の上部に肥料ケースが見られます。これは先月末から今月にかけて取り付けたもので、今年7月まではこれまでの数年間、これらの株には肥料を殆ど与えていませんでした。温度、輝度、湿度、通風等の条件が適合すれば著しい成長をすることがわかります。

   
2019年11月炭化コルク植付け 2020年4月炭化コルク植付け 2020年11月炭化コルク植付け
Bulbophyllum wiliilamsii Mindanao Bulbophyllum translucidum Leyte Bulbophyllum inacootesii  Mindanao

2020年12月トリカルネット筒植付け 2020年2月炭化コルク植付け 2021年10月炭化コルク+ヤシ繊維マット植付け
Dendrobium deleonii Mindnao Bulbophyllum callichroma New Guinea Trichoglottis atropurpurea flava Luzon

 下写真は昨年12月にVandaを木製バスケットを多段に連結した取付材に植付けた凡そ10か月後の様子です。今年の夏の猛暑を乗り切り、現在多数の根や新芽が伸長しています。

Vanda Luzonica, ustii, mindaoensis, sanderianaなど Vanda dearei, helvola, lombokensis, foetidaなど

Bulbophyllumに見る植替え1年後の成長

 Bulb. recurvilabreBulb. scaphioglossumの、植替え時と凡そ1年後の成長を比較してみました。両種はそれぞれ1999年と2014年命名された新種で、Bulb. recurvilabreは昨年、50㎝サイズのブロックバークに2株を寄せ植えし、またBulb. scaphioglossumは炭化コルクとヤシ繊維マットを重ねた支持材に取付けました。Bulb. recurvilabreをそれまでの炭化コルクではなく、ブロックバークに取付けたのは栽培経験による判断です。ポットやコルクに比べてブロックバーグの方が相性が良いのはDen. rindjaniense等にも見られます。一方、Bulb. scaphioglossumは炭化コルクとヤシ繊維マットとを組み合わせた保水性の高い支持材としています。この組み合わせは昨年夏以降、これまで炭化コルクを使用した種の植替え時には全てに適用しており、Bulb. scaphioglossumはその取付材を使用した初期のバルボフィラムとなります。

 下写真はBulb. recurvilabreで、上段中央が2021年4月17日の植付け、右は同年7月21日の様子です。同月の歳月記にも取り上げましたが、3ヶ月程で5つの新芽が出始めています。下段左は2022年8月31日の撮影で、上段右写真から凡そ1年後の様態となります。下段中央及び右はその拡大写真です。株写真下のそれぞれの注釈は、撮影日とその時点での新芽を含む葉数を示したデータです。これらから分かるように植付けから1年4ヶ月ほどで葉数は植付け時の10葉から18葉に増えています。しかし植付け時に見られた古い葉が4葉落ちているため、植え付け後に新しく発生したバルブ数は12バルブとなります。植付け時のバルブ数を考えると、新バルブがその数を1年4か月で超えるのは極めて成長が盛んと云えます。本種は高温栽培です。

Bulbophyllum recurvilabre Leyte 2021年4月17日 10葉 2021年7月21日 14葉
2022年8月31日 17葉 左写真上部の新バルブ数:4 左写真下部の新バルブ数: 8

 一方、下画像はBulb. scaphioglossumの炭化コルク+ヤシ繊維マットへの植付け時(写真中央)と現在の様態(写真右)です。本種は中温環境での栽培となります。この植替えの様子は2021年7月の歳月記に掲載しています。上段のBulb. recurvilabreと共に、種に適合した支持材や植付け方によっては、1年間程であっても良く成長することが分かります。

Bulb. scaphioglossum New Guinea 2021年7月30日植付け 2022年9月1日


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