tsuun

栽培、海外ラン園視察などに関する月々の出来事を掲載します。内容は随時校正することがあるため毎回の更新を願います。  2020年度

   2021年 1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月 

1月

現在(30日)開花中の小花デンドロビウム4種

 現在、Den. annemariae, Den. ovipostriferumなどと共に開花中の、花の小さな4種を撮影しました。下写真の左は東南アジアに広く分布するDen. aloifoliumです。デンドロビウムの中では、5mm程と最も小さい種の一つで目に留まることも少なく、本種を栽培している趣味家はまずいないと思います。花色は透明感のある白色をベースにドーサルセパル及びペタルに赤紫のラインが入るフォームが一般ですが、写真はアルバフォームです。隣はDen. boosiiで、フィリピンにて近年発見された新種です。これまで2回程国内ラン展で販売していたことから既に栽培されている方も多いと思います。花色が多様で、リップが濃い赤と黄色が混じったフォームを探しているのですが、昨年はCOVID19の影響でフィリピンに出かけられず、入手が遅れています。左から3つ目はDen. modestumです。フィリピン生息種ですが、何故かJ. Cootes著 Philippine Native Orchid Species 2011には記載がありません。右写真はボルネオ島やマレー半島生息のDen. rosellumです。こちらも花サイズはDen. aloifoliumと同じように小さく7mm程です。Den. aloifoliumrosellumのような超小型の花種は印象が薄く引き合いはまずありませんが、どのようなランであっても、その多様性は、生息する環境と昆虫などの生物との共生により進化した結果であり、意味のない形状やフォームはありません。原種の全ての色・模様・形状は生存への必然故と考えると、虫めがねで見なければ認識できない姿に神秘性を感じ、マクロレンズで記録したくなります。

 上記の種について現在計画中の新しいページへのリンクをそれぞれ下記に記載しました。やっとバルボフィラム、デンドロビウム合わせて600種程がほぼ終了し、来月からはAerides, Vanda, Coelogyneなど合わせて200種程の編集作業に入るところです。一方、取り扱った全ての種の改版終了を待ってから一括更新となると、まだ先が見通せないため、Draculaや一部の属種は残るものの、早期に(800種程の新ページ編集終了時点)で一旦、サイトの改版を行い、同時に種毎の栽培ページを順次追加し、こちらは会員用として公開していく予定です。高解像度画像ページも並行して進めています。

 Den. aloifolium
 Den. boosii
 Den. modestum
 Den. rosellum

Den. aloifolium Den. boosii Den. modestum Den. rosellum

観賞のための風景作り。コケ栽培

 昨年11月の「現在開花中の花とコケ」で取り上げましたが、高湿度下の温室では、株の取付け材にコケがしばしば自生し、特に低 - 中温室では、植付けから2年近く経った取付材にはそうした様態が普通に見られます。このコケとは触れると手に付く緑色の藍藻(らんそう)類ではなく、岩や木肌に生える、もこもことした植物です。一方、最近登場する新種のランは標高1,000m前後の高地に生息する種が多く、亜熱帯から熱帯地域でのこの高度は一般的に雲霧林やコケ林となり、高湿・中温です。下写真上段左はフィリピンNueva Viscaya標高1,200mとされるコケ林のバルボフラムspで、右は現在(28日)浜松にて開花中の同種です。このspの開花を見て左写真を思い出し、このようなコケとバルボフィラムとの共存風景を栽培において作り出せないものかと考えました。

 その際の問題は、果たしてコケの繁殖がランの成長を阻害あるいは助長するのかを知ることが前提となり、ランの成長が妨げられるようであれば一緒には出来ません。と云うのも、前記した藍藻類は葉表面に付けば、葉に当たる輝度を低下させ、裏面では気孔を塞ぐなどマイナス面が多いことが分かっています。そこで現在実際に共存している株を調べました。下写真の上段右から下段左2つの写真は中 - 高温室でのそうした状態にある株の写真です。いずれも新芽や開花が見られ、また他の株もコケによって成長が妨げられている様態はありません。また一部の株でコケを剥がし調べたところ、ランの根がコケの下で張り巡っています。云われるようにコケは栽培においても、保水性と蒸散の湿度調整作用があるようでランの成長にはプラスに働いているようです。

 コケとの共存で保湿機能と、自然に似た風景が得られれば一石二鳥です。但し、コケは根を伸ばしながら広がっていく植物ではなく、胞子によって増えるため、ランの根の近くに置いただけでは支持材全体を覆うほどにはなりません。そこでまず温室内で自然発生した背の低いコケ種を別途栽培し、これがある面積以上になった時点で切り取って、ランの支持材に絨毯を敷くように取付けようと試みることにしました。下段右とその左隣は保水力の高いトリカルネット筒に取り付けたコケで、左はこれまでラン取付材に自生していたもの、右は庭石を覆っていたコケの一部を剥がしたもので、移植後の様子を調べるためです。これらはいずれも中程度の輝度のある場所で繁殖していたものです。この他、表面に薄くミズゴケを敷いた炭化コルクや杉皮板をトレーに並べ、その上にコケを乗せ胞子発生時(温室内には1-4月が最多)には薄いビニールを被せ、風任せではなく、少しでも胞子が周りに付着するように増殖仕掛けを作ることにします。今後1年程かけて上手くいけば、下写真に見られるようなコケに覆われた、コケ林風のランとコケとの共存風景が見られるかも知れません。一つの遊びですが、こうした手の込んだ試みもCOVID19で生じた時間があるから出来ることです。

Bulb. sp Nueva Viscaya標高1,200m 左spの栽培花 Bulb. sp Cameron HL (中温系)
Bulb. isabellinum (高温系) Bulb. kubahense (高温系) コケ (温室内自生) コケ (庭石からの取り剥がし)

現在開花中の花6種を撮影(22日)しました。

 現在多くの種で花茎の発生が見られます。写真上段左のVanda sanderiana pinkは、花色が輝度に大きく影響され、濃いピンク色を得るには高輝度が必要です。フィリピンラン展での入賞花ですが、当サイトの温室はVanda sanderianaにとって輝度不足のため、淡いピンクとなっています。中央のVanda luzonicaは茎長が1.7m超えの大株です。年に3回程開花します。右のVanda lamellata var. remediosaeも大株に育てようと、前記2種と同じ木製バスケットに植え付けています。一方、写真下段左及び中央の種は種名不詳です。右はタイ、ボルネオ島、スマトラ島生息の茎が長く下垂するThrixspermum pensileで、1mを超えます。フィリピン生息のspとして2017年入荷しました。フィリピン生息は新たな記録と思われます。短命花ですが年に数回開花します。

Vanda sanderiana pink Davao Mindanao Vanda luzonica Bulacan Luzon Vanda lamellata v. remediose Sulu archipelago
Bulb. sp New Guinea Den. sp (cymbicallum complex) Thrixspermum pensile

現在開花中のPaphiopedilum sanderianum

 15年以上前は胡蝶蘭原種と共に、多輪花系パフィオペディラムをよく収集していました。現在Paph. rothschildianumは多くのサプライヤーの実生生産により、市場価格は当時と比べ数倍も安価になりましたが、Paph. sanderianumは実生化が難しいためか、今だ高額のようです。収集当時、クリーンベンチ、オートクレーブ、超音波洗浄器等を購入し両種の実生化を行っていました。フラスコ培地成分の中には入手にハンコが必要な無機塩類もあり、何度も薬局に通い集め、無機、有機、ホルモン剤などを組み合わせ、様々な培地を試みました。その中で安藤培地や、最近販売中止となったフジ園芸の液肥とバイタリックVの2種混合肥料が最も高発芽率でした。胡蝶蘭と異なり、パフィオは超音波器で種皮を傷つけてからフラスコ内に蒔き、その後、発芽までの1-2ヶ月間は暗室に置き、発芽を確認してから通常の明るさの下で育成することと、フラスコから苗を取り出すまでに培地の栄養が枯渇するため、植え替えを2回程行います。しかし、1-2年間のフラスコ内での培養を経てフラスコから苗を取り出すまでは良いものの、数㎝の苗を無事に育て上げる最初の1年間の栽培は特に難しく、Paph. sanderianumPaph. rothschildianumに比べ精々1/5の成功率でした。こうしたPaph. sanderianumの実生化の難しさ、さらにフラスコ苗からBS株になるまでの長期間の栽培コストが、マーケットにおける高価格の背景にあるのかも知れません。下写真は全て本日(19日)の撮影です。写真右は現在40株程を栽培しているPaph. sanderianumの一部で、ほぼ同数のPaph. rothschildianumも栽培しています。

Paph. sanderianum

植付け待機用株の仮植え実験

 一般趣味家には余り経験がないと思いますが、海外との取引では、空港での植物検疫の配慮から殆どの株はベアールート(根に何も付けないままの状態)で出荷されます。こうした株は作落ちを防ぐため入手後、直ちに適切な植付けをしなければならず、その猶予は通常1週間以内となります。当サイトでは1昨年までのように、3ヶ月おきに一括して海外から300 - 400株を入荷する場合、植込み時間のかかる炭化コルクなどへの取付種が多いと、植付けされるまでの待ち時間がそれぞれの株で長くなり、1週間以内に全てを終わらせることは困難です。このためその間の仮植えが必要になります。バルボフィラムの多くは、トレーにミズゴケを敷き、この上に並べて軽くミズゴケを根周りに乗せ、適切なかん水をしていれば1ヶ月程は問題はありませんが、胡蝶蘭でのそうした対応では、1週間もすると細菌性の病気に襲われます。立ち性のデンドロビウムは根周りをミズゴケやクリプトモスで覆いカゴにまとめて入れ待機させますが、2-3週間が限度です。このため、入荷株にはそれぞれ優先順を定め、植付けは下垂系、とりわけ胡蝶蘭が最優先となります。しかしそれでも入荷数が多い場合は期限を超えてしまいます。こうした問題を回避するために短時間で植えつけられ、本番植付けの最長2ヶ月間の待機ができるる処理を仮植えと云い、1株あたり5分程度の植付けを目安とします。胡蝶蘭の場合はベアールート根をミズゴケで覆い、これに1mm径ほどのアルミ線で、ぐるぐると巻いて、通風を得るため1株づつ間をとり吊るします。根周りの乾燥に気を付ければ、1ヶ月間程は株が弱ることは無くなります。

 しかし種の中には、出荷前にそれまでの支持材から根を切断しての取外しや、検疫のための消毒などによって弱体化した株も多く、入荷後はそれぞれの株を毎日観察しながら順位を調整することになります。その結果、当初の優先順位が変わることもあり、仮植えをしても2割程度は、植え付け後の順化が上手くいかないこともしばしばです。そこで見栄えは兎も角、数ヶ月間は弱ることのない仮植えができないか、場合によっては売れるまで、あるいは1年でも大丈夫な方法はないかと思案をしてきました。昨年夏からVandaやAeridesなど空中に垂れる根の乾燥を押さえる方法として不織布を巻くことを試行してきましたが、この際に用いたのは農業用不織布で薄く半透明な布でした。一方、昨年10月の歳月記で紹介したトリカルネット筒に使用する親水性のある不織布は、3mm厚(商品公称値2mm)でした。これを前記した仮植えに使えないかと、8月にはPhal. bellinaを不燃布に根を直付けし、ミズゴケで覆ったもの、また9月からは写真中央に見られるように、Phal. lueddemanniana15株それぞれをクリプトモスミックスで根を覆った後、不織布で包んだもの(10年ほど前に行っていたヤシ繊維マットに代わる構成)をテストしてきました。このテストとは不織布に根が嫌う成分が含まれていないかどうかを調べるための実験です。4ヶ月経過しましたが、下写真左のPhal. bellinaでは新根が不織布に潜るのではなく、表面に密着(活着)して伸長しており、またPhal. lueddemannianaでは、周辺に置かれた多様な植え付け材や支持材のランと同じかん水条件下で、右写真に見られる新芽が多数の株に現れ、伸長しています。この植付け方法であれば見た目は布の白色が目立ち不自然であるため、あくまで仮植えですが、1株5分程度で植付けができ、またそのまま栽培を続けても、むしろこの取付方法を好んで成長するようで、本番の植付けを急ぐ必要はなくなりました。さらに1年間は様態を観察し、問題がなければこれまでのように乾燥しがちなリスクのある植付けではなく、3mm不織布で包んでから吊るす方法を、デンドロビウムを含め、半下垂や下垂性種の仮植えの常套手段にする予定です。 これで現在海外に発注している大量のランが入荷しても準備は万全と、COVID19が治まるのを待つばかりです。

Phal. bellinaの新根 Phal. lueddemanniana 不織布巻き Phal. lueddemannianaの新芽

トリカルネット筒取付材

 昨年秋から、これまでの栽培体験から、ヤシ繊維マットにミズゴケを巻いた筒状取付材が、気相率と共に根張り空間が大きく、過かん水もなく、且つ、コルクやヘゴと比べ乾燥し難いことから、特に希少種やデンドロビウムFormosae節に対し優先的に適用することにしました。これまでの植付けは50株ほどになります。経過は順調で、現在の栽培ではトリカルネット筒製作に最も時間を割いています。下写真左は昨日の撮影で、筒直径サイズの異なる3種類のトリカルネット筒です。長さは全て同じで50㎝です。画像はヤシ繊維マットにミズゴケを巻きつける前後の状態です。写真中央はDen. igneo-niveum、右はDen. deleoniiです。バルボフィラムや胡蝶蘭も今後全ての種で1-2株を選び、トリカルネット筒に植えつける予定です。これは10年ほど前に、当時はネットを使わないでクリプトモスミックスをヤシ繊維マットで海苔巻き状に包んでいた筒に、ミズゴケで株を押さえ吊るしていた株が、5年以上経過し、マットがボロボロに崩れかかった状態であるにも拘らず、生きながらえているという実態を見てきたためです。すなわち希少種や難易度の高い種、また少なくとも入手株の1株は残したい場合の、もっとも有力な素材であるとの判断からです。ではなぜこれまでそうしなかったかですが、繰り返しになりますが、トリカルネット製作は素焼き鉢、ヘゴ板あるいはコルクへの植付けに対して、比較にならないほど製作に時間がかかり、また多量なミズゴケを消費するため株数が多い場合は導入が困難なためです。よって前記したような限られた条件のもとで使用することにした訳です。

不織布を筒内に入れたトリカルネット取付材 Den. igneo-niveum Den. deleonii

現在(17日)開花中の3種

 下写真は昨日撮影の花3点です。Den. annemarieaeは2018年発表のフィリピンミンダナオ島生息の新種です。浜松温室では1月から4月にかけて開花しており、現在、複数の株で蕾が見られます。蕾から開花まで1.5ヶ月ほど、花寿命は3週間ほどとなっています。中央のVanda sanderiana albaは今月初めの本ページで取り上げた同花で、前回は5輪の開花でしたが、2日前に8輪全開となりました。右はVanda merrilliiで1.5m程の大株が現在4株あり、昨年秋から断続的にどれかが開花しています。いずれもフィピン固有種です。現在、室外は真冬ですが、高温室栽培のVandaはいずれもこの期を待っていたかのように多数の新根が現れ伸長しています。これはこの時期の温室内が暖房で夜間17℃、冬季は寒冷紗を常時巻き上げており、晴天日の昼間は27 - 28℃に上昇することから昼夜の温度差が大きく、また窓を閉めきっていることで昼間の湿度が70 - 80%と高いことが背景にあると思われます。こうした昼夜の温度が17-28℃、湿度の差が僅かで80%前後は、高温タイプのランにとって最も好ましい環境で、特に早朝から昼に向かっての温度上昇時は全株が生き生きとしています。

Den. annemarieae Bukidnon Mindanao Vanda sanderiana Davao Mindanao Vanda merillii Nueva Ecija Luzon

Bulbophyllum rugosum

 透明感のあるセパル・ペタルが特徴のBulb. rugosumが開花しています。下写真は本日(16日)の撮影です。本種はボルネオやスマトラ島標高1,000m - 1,700mの生息とされていることから当初中温室にて栽培していました。特に問題は無いものの現状維持状態が長く開花回数も少なかったため、昨年高温室に移動しました。その後の新芽の発生や開花を観察すると、高温環境が適しているようです。おそらく入手株は前記標高域よりやや低地ではないかと思われます。手持ちが少なくなり追加で発注を現地ラン園にしていたところ、昨年秋に10株ほど確保できたとの連絡を受けましたが、COVID19のため保管してもらっている状況です。

 今回の開花で不思議なことは、下写真の開花株は昨年1月の歳月記で取り上げた株と同じで、その画像を見ると花数は異なるものの、花茎の出ているバルブが同じで、その基部の発生場所も同じように見えます。さらに左のバルブの一つに開花待ちの蕾が見えますが、他の花の開花より遅れているタイミングも、見る人にとっては1月の画像と同じで何か奇妙に感じると思います。しかし昨年1月の写真を比べると、下写真には左右二分岐している先に根を伸ばした1月の画像には見られない新しいバルブがあり、時の違いが分かります。では果たして、開花の終了した花茎発生点から再び1年後に新たな花茎が発生するものなのか、バルブ基部ではリゾームの節間が詰まり、見た目では分かり難いものの異なる節から花茎が発生しているのか、このような様態を見るのは初めてです。ところで 下写真のように一斉に開花すると、開花後に株が弱ることがあり、花後は炭化コルクからトリカルネット筒への植替えを予定しています。

Bulb. rugosum Borneo

似て非なるBulbophyllum trigonosepalum Complex

 昨年1月の歳月記にBulb. nymphopolitanumグループを取り上げましたが、さらにその中の1種であるBulb. trigonosepalumの類似種を6タイプを選び、それぞれの特徴を比較しました。それから一年が経過しましたが、今年は同じ入荷株の中に開花初めての株が幾つかあり、今回はそれらも加えて9タイプを取り上げてみました。下写真がその花で、撮影は先週と今週に行ったものです。花色の違いを除けば、どれも同じように見えますが、色合いと共に、リップの形状(中央弁の表面の凹凸やくびれ)などを細かく見ると、それぞれに違いがあることが分かります。そうした特徴点を、画像の下に記載しました。全株ミンダナオ島生息種で2017-18年の入荷で当サイトでの栽培は炭化コルク付けです。花サイズはほぼ同じです。この中で新種ではないかと思われる株が上段右で、リップ形状がBulb. recurvilabreに似て非なる点と、バルブや新芽が赤褐色を帯びる点からです。

リップ中央弁の粗い凹凸 リップ中央弁表面が滑らか リップ中央弁の中央部のくびれ
リップ中央弁の中心に走る突起、 中央弁基部左右突起先端部が尖形 リップ中央弁がやや小さく表面は滑らか
リップ中央弁の長く幅広の凹形状 リップ中央弁基部の割目形状 ラテラルセパル全体に斑点

Dendrobium aurantiflammeumの新芽

 ここ一両日(8-9日)は浜松でも早朝の溜水が凍っている状況です。しかし前にも記載したように高温室は最低温度を17℃としているため、大半の原種の動きは活発です。Den. aurantiflammeumも、昨年猛暑の夏に発生した新芽が伸長を続けており、本日(9日)撮影しました。また準備中の同種改版ページへのリンクを下記に記載しました。新しいページでは一般種、濃赤種および変種(フォーム)の3つに分けています。

 Den. aurantiflammeum
 Den. aurantiflammeum_red
 Den. aurantiflammeum_form
 
Den. aurantiflammeum

山野草鉢植え付けのクールタイプ種その後

 昨年9月に低温タイプの南米種の一部を、これまでのプラスチックや素焼き鉢から山野草鉢に植替えた事例を取り上げました。以降、現在まで根張りが盛んで勢いが増しています。10月には、これまでブロックバークや炭化コルク付けであったDen. vexillarious blue10株と、プラスチック深鉢のCym. elongatum5株も同様にクリプトモス主体の山野草鉢に植替えました。これらは入手して3年程経ちますが、植替える前までは枯れることは無いものの、じり貧状態が続き成長が今一つでした。そこで山野草鉢に、根を僅かなミズゴケで巻いた以外は全てクリプトモスを用い、様態を見ていましたが、いずれにも茎や葉に張りが戻り、12月に入るとDen. vexillariousではほぼ全ての株に複数の新芽が発生し始めました。下写真は2日前(7日)に撮影した株です。左および中央は濃青色のDen. vexillarious blueです。一方、右は頂芽が落ちたシンビジュウムCym. eleongatumで廃棄予定でしたが、脇芽があったため、試しにと同様に植替えた株です。写真に見られるように脇芽が伸長し新芽も現れました。これらの、こうした風景は入手以来なかったことです。クリプトモス植付けの要点は2年以内の交換と、決して根を乾かさないことで、山野草鉢は乾燥し易いため小まめなかん水に気を遣っています。

Den. vexillarious blue Papua New Guinea Cym. elongatum Borneo

現在(8日)開花中のデンドロビウム3種

 浜松では昨日、今期初の雪がチラつきました。しかし高温室の最低温度は17℃としており、この時期の締め切った室内では昼夜共に高湿度が維持され、8割方のランは室外の気温とは関係なく、新らたな根や芽を盛んに伸ばしています。胡蝶蘭はPhalaenopsis節(Phal. schilleriana、stuartiana、philippinensisなど)で花芽が見られます。一方、バルボフィラム、特にcirrhopetalum節種が多数開花中で、これまで未開花のsp3種も間もなく開花します。デンドロビウムも多数で花芽を伸ばし始めましたが、下写真は現在開花中の3種で、これらの改版用ページへのリンクも記載しました。改版ページでDen. macrophyllumはJava、マルク諸島、New Guinea、フィリピンなどに生息とされていますが、フィリピンではDen. setigerum名となっており、これらはシノニム(異名同種)とし、当サイトでは統合して記載することにしました。、

 Den. lancifolium
 Den. macrophyllum (シノニムとしてDen. setigerumと統合)
 Den. ovipostoriferum

Den. lancifolium New Guinea Den. macrophyllum New Guinea, Philippines Den. ovipostriferum Borneo

先月から新年にかけて開花中のデンドロビウム3種

 Den. bandiiDen. sanguinolentumおよびDen. igneo-niveumが開花中です。Den. bandiiは昨年発表された新種で、当サイトでは、その4年前に入手していました。。サンシャインや東京ドームでも当時種名不詳spとして販売しましたが、購入された方がいたか定かではありません。Den. sanguinolentumは通年で開花し、セパル・ペタルに紫色の斑点のあるフォームは、浜松温室では晩秋から冬によく開花が見られます。またDen. igneo-niveumも夏季の3ヶ月程を除き、通年の開花種です。現在改版予定の上記3種のページを、Den. bandiiのaff (類似種)を含めて下記のリンク先に表示しました。Den. sanguinolentumは3つの花タイプがあり、改版ではフォーム別にページを設けており、下記のリンクは斑点のあるタイプのページです。

 ところで改版で使用する画像の解像度は、これまでと同じ1,000 x 500ピクセル内としていますが、15年間に撮影した数万枚の原画(5472 x 3648ピクセル)は全て保管しており、これら高解像度画像を用いたページも、現在計画中の会員向けサイト、および種毎の栽培情報ページと共に作成中です。

 Den. bandii
 Den. bandii_aff
 Den. sanguinolentum_spot
 Den. igneo-niveum

Den. bandii Den. sanguinolentum spot form Den. igneo-niveum

新年開化中のVanda sanderiana f. albaCattleya schroederae concolor

 新年を迎えました。一日も早くcovid19が沈静化することを願っています。現在、現地サプライヤーには100種500株以上を発注しており、EMSの再開が始まる日をひたすら待つばかりです。

 年初めに、開花の目立つ花を2点撮影しました。下写真左のVanda sanderiana f. albaは2016年のフィリピンPOS (Philippine Orchid Society) Mid-Year Orchid Showの優勝花(ブルーリボン)です。展示会での優勝花を得ることは困難ですが、この時は現在POS会長であるPurificacion Orchidsのオーナーの口添えで出来たと思います。Vanda sanderianaの色合いは輝度に大きく影響され、ピンク、イエロー、グリーンなどの濃色を得るには高輝度下での栽培が必要です。しかし他種混在の温室では一律な高輝度は難しく、結果、Vandaの色は総体にやや淡くなります。下写真のVandaの場合、高輝度下ではグリーン色が濃くなります。一方、右はC. schroederaeです。当サイトでは2015年以降カトレアは販売していません。この株は、3年前にエクアドルのMundifloraのラン展での売れ残り株を預かり、およそ1年近く浜松にて保管(栽培)した後、翌年のラン展に返品した際のお礼にと頂いたものです。最初に受け取ったとき、バルブと根の様態から、これまで樹に活着していたようで、ポット植ではなく炭化コルクに取付けています。

Vanda sanderiana POS Mid-Year Show blue-ribbon 2016 C. schroederae concolor


前月へ