1月
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良い香りのする2種
下写真上段は左3株が南米アルゼンチンのClori Orquideasから2015年に直接入手したBrasiliorchis pictaで、右2株は本歳月記2018年8月に掲載したPteroceras (Brachypeza)unguiculataです。Brasiliorchis pictaは アジア太平洋蘭会議APOC11(2013年)でフレグランス審査リボン賞を取っており、また後者はJ. Cootes氏がその香りについて滅多に表現しないveryが付けられた非常に甘い香りとされている種です。いずれもそれ程のものならば誰もが一度はその香りを嗅いてみたいのではと思います。一つの問題点は昨年8月の歳月記にも記載したように後者は1日花どころか6時間程しか開花しない短命花であり、栽培をしている人以外はまず体験することができない幻の香りであることです。Brasiliorchis picta | Pteroceras unguiculata |
奇妙な花形状のDendrobium roslii
何万年もかけて進化した原種の形状には全ての無駄を排除した必然性があるとされます。そう考えると一体、このDen. rosliiがもつリップとペタルに付けた細毛は何のためかと考えてしまいます。ポリネーター(花粉媒介昆虫)が留り易くするためのものか、であれば細毛ではなく紐のような長く垂れた形状が良いであろうし、否、花粉を運んでもらいたいポリネーターは決まっており、そのサイズ以上の飛来者をリップの奥には通さないための防虫ネットの役割も兼ねているのかなどなど不思議です。Den. roslii |
Bulbophyllum trigonosepalum yellowとCoelogyne longirachis
Bulb. trigonosepalum yellowは一般フォームのラテラルセパルが赤褐色とは異なり黄色で、下写真左は本サイトが所有するミンダナオ島生息種です。炭化コルク付けの高温室で栽培をしています。下写真のフォームはorchidspecies.comやCootes氏Philippine Native Orchid Speciesの画像に見られる色合いに比べてセパルの鮮黄色が際立っており希少と思われます。本種は昨年のAJOSサンシャインラン展にBulb.spとして初登場させ2株ほど販売した記憶があります。その後は販売していません。Bulb. trigonosepalum yellow form | Coel. longirachis |
Phalaenopsis equestris
Phal. equestrisはフィリピンを代表する胡蝶蘭原種の一つです。現在マーケットにはリップの色が赤、青、黄色など多様なフォームが見られますがこれらのほぼ全ては台湾やタイで量産されている実生です。一方、セパルペタルおよびリップ全体ががやや青味のあるピンク色のPhal. equestris v. rosea (ilocos生息)は排他的地域性があり同種の中で唯一変種varとされています。またこうしたフォームの中でリップの先端から1/3程がブルーで、基部に向かってゴールド色に変化するcyanochilaフォームは希少とされます。Phal. equestris |
Vanda brunnea
こちらもサンシャインラン展最終日に中国四川ラン園から入手したVandaです。Vanda brunneaはインド、ミャンマー、タイ、雲南省の標高800m - 1550mに生息する中温タイプで、入手株は雲南省です。通称淡褐色(light brown)バンダと呼ばれているそうです。化粧品にあるような匂いがします。orchidspecies.comの画像では淡褐色ですが、入手した株の花色はやや緑かかった色合いで、雲南の地域色と思われます。国内マーケットをネット検索すると実生があるようですが、生息地域が知られた野生(栽培)株は見当たりませんでした。下写真は現在浜松にて開花中のVanda brunneaです。Vanda brunnea |
Schoenorchis buddleiflora
Schoenorchis juncifoliaがマレーシアIpoのラン園のカタログリストにあり、昨年9月これを仕入れたところ20㎝未満のかなり小さな株で期待外れでしたが先月そのなかの1株に花芽がでて今月開花しました。Schoen. juncifoliaの花サイズは通常1㎝ - 1.5cmに対し、今回入手した株の花は多輪花ですが1輪は5mmほどです。2017年7月の歳月記でCleisostoma williamsoniiとしてキャメロンハイランドで入手した株がSchoen. juncifoliaのミスラベルであったことを取り上げましたが、その際にSchoen. juncifoliaの花を実際見ており今回の株もまたミスラベルと分かり、調べたところとSchoen. buddleifloraでした。Schoenorchis属のミスラベルはこれで2回目です。結論とすれば売る方も買う方もSchoenorchis属についてよく分かっていないと言うことでしょうか。Schoen. buddleiflora |
種名不詳のBulbophyllum
2016年キャメランハイランドにて入手したバルボフィラムが開花し、そのラン園の2014年掲載のFacebookにあった写真と同じ花で間違いないことが分かりました。形状からはBulb. arfakianumやBulb. fraudulentumなどのHyalosema節の種の中のアルバフォームでないかと思っていましたが、本種のドーサルセパルの基部に同節に共通して見られる”つ”の字のような湾曲がなく、ストレートに前方に伸びている点で別節とも考えられます。種名は調査中です。下写真左は本種の全体画像、上段中央は花の側面、また右は正面からの画像です。ラテラルセパル内側には写真下段中央に見られる細毛があり、ペタルは細く先端がほぼ90°外側に曲がっています。サンシャインラン展での中国ラン園の売残り株
サンシャインラン展にて本サイトの向かいには中国四川からのラン園が出店していました。最終日の14日に売れ残り株が若干あり、見たところほとんどが栽培経験のない種で、添付された花写真を見て面白そうであったので選ぶのも面倒と全て購入しました。40-50株程と思います。それらのほとんどが雲南省からの株とのことで、浜松に持ち帰ってから調べたところほぼ全てが中温から低温タイプでした。中には2,500mから3,000m生息のコールドタイプも僅かながら含まれ、売れ残ったのは花に魅力が無いからではなく、その多くが低温室が無ければ栽培ができない種であるためと分かりました。下記がその一部です。低温タイプは、ここ浜松ではDen. vexillariousやDracula属などと同居です。マーケットでは稀な現在開花中のデンドロビウムとバルボフィラム
下写真の上段左は前回取り上げたソロモン諸島生息種で昨年12月に入荷した種名不詳のデンドロビウムです。上段中央と右も同じく種名不詳種のそれぞれ正面および側面からの花画像です。Den. cymbicallumに似た花形状ですがリップの外周に短い細毛が見られます。9月のマレーシアPutrajaya Floria 2018で見つけたものです。下段左は全体形状としては始めて見るCirrhopetalum節のバルボフィラムです。一方、中央および右はDen. leporinumのアルバフォームと、比較参考用としての一般フォームの画像で、昨年取り上げたアルバ株とは異なる2株目のアルバとなります。こちらもPutrajaya Floria 2018での入手です。Den. sp Solomon 諸島 | Den. sp | |
Bulb. sp | Den. leoprinum (left: alba, right: common form) |
AJOSサンシャインラン展から東京ドームラン展へ
14日サンシャインラン展が無事終了しました。多くの方々にご来店頂き有難うございました。1か月後には東京ドームでのラン展が始まります。このため今月末にはフィリピンに出かける予定で、またマレーシアからはラン園の2代目に懸案のランを成田まで持ってきてもらうことになっており、休む間もありません。どのようなランが出品できるか、順次本サイトにて報告してゆく予定です。AJOSサンシャインラン展出荷準備を完了
58回サンシャインラン展には本サイトにとって、これまでに無い多品種の原種を出品することになりました。先週の出品予定種リストのほぼ全てを展示するため、2ブースと言えども品種当たり平均2-3株がスペース上の上限で、今回はブースの両サイドが通路側であることから、展示棚の側面に設けるラン取付用の格子には通路側と内側の両面にランを吊り下げる予定です。それでも初日は吊るすスペースが不足するのではと思っています。AJOSサンシャインラン展出荷準備を開始
6日はバルボフィラム、7日はデンドロビウムとVanda類、8日は胡蝶蘭の順で梱包が始まりました。本日6日はバルボフィラム出品予定種リストのほぼ全種の梱包が完了しました。その中でリストに無い下記の品種を追加しました。AJOSサンシャインラン展出品の実生胡蝶蘭原種
胡蝶蘭原種の台湾等からの実生には関心が無く、通常は取り扱っていませんが、ラン展においてはPhal. bellinaとPhal. violacea blue (Indigo Blueを含む)は例外的に実生を販売しています。下写真はサンシャインラン展に出品する実生となります。写真左は左側がPhal. bellina Ponkan、中央から右側がPhal. bellina albaとcoeruleaです。右写真は左側がPhal. violacea sumatra blue NBS、中央がPhal. gigantea Sabah NBS(マレーシアでの交配実生)、右側がPhal. bellina Ponkanです。実生はPhal. bellina PonkanはBSで2,000円、Phal. bellina albaは同じくBSで2,500円、Phal. gigantea NBSは2,000円、Phal. violacea blueは1,500円となります。このように実生は量産園芸種のため、野生栽培種と比べて同種であっても1/2 - 1/3の価格としています。Phal. bellina, ponkan, alba, coerulea | Phal. violacea blue, gigantea, ponkan |
AJOSサンシャインラン展2019出品予定種リスト
今月10日からのサンシャインラン展向け出品リストを下記に記載しました。ラン展での展示スペースは限られているためそれぞれの品種は3-4株の少量多品種となります。原則プレオーダーは胡蝶蘭原種のみですが、その他については品種によりプレオーダーが可能な種もありますので、ご希望種がありましたら6日までにお問い合わせ下さい。