希少種 珍種についてランの販売サイトには、あの手この手の、花の容姿や株の状況を謳った文句があります。’希少’、’珍種’、’選別’、’美しすぎる’など、時として4本程のバルブの株を’巨大な特大サイズ’と言われると、思わず吹き出してしまう表現もあり、ランを何としても買ってもらおうとの必死さが伝わってきます。一般市場価格に比べてより高額で販売をしている売り手であるばあるほど、よく言えばアグレッシブな、悪く言えば誇大な表現がより多く見受けられます。こうした中での売り手の主観的な感想や見解は、買う側はジョークとして楽しんで見ていればよいかと思います。 一方で、希少種とか珍種とかの表現は、初心者にとってはおそらくその言葉通りの解釈をしてしまうかもしれません。希少種という表現は客観性が必要で、さもないと誇大広告に他なりません。とは言っても例えば、自分で適当な種を選びこれらを交配した実生種を、それがどのような容姿であれ、希少種とか珍種と謳っても、おそらく世界にはそれしか存在しないのですから間違いではありません。すなわち、人工的に作られた交配種には希少種とか珍種は意味(価値)のない表現となります。しかし「原種」に対して希少種や珍種との表現は重要な意味を持ちます。ある原種が希少種であるのであれば、その種は自然界において生息数が少ない、珍種であれば世界市場において取り扱いがこれまで殆ど見られないと言った客観的なデータあるいは情報が必要です。もし市場では取扱いが稀であるが現地での生息数は多い、あるいは世界市場での売買実績は多いが、日本では殆ど無い場合、これを希少種とするのは誤りであり、希少との表現故に入手した人から見ればダマされたことになります。 うがった見方をすれば、売る側からは希少とは言ったが希少種とは言っていないとの声が聞こえてきそうです。何が違うかです。希少種はまさに種の生息数が僅かであることを意味しますが、希少種から種を取り除いた「希少」とは手に入りにくい、流通が少ないものを総じた言葉とも解釈できます。であれば求めればいつでも生息国から入手できるものの、たまたま日本の国内市場では余り扱いの無いものを希少と言えば、それはそうとも考えられます。しかし”これは希少なランです”とか”入手難です”と言われ、高額になっていれば、CITES規制植物でもあるランであるが故に、希少と言われればイコール希少種と思うのが普通です。 では、正しい表現としての希少種とは何かですが、厄介な問題があります。それは真に希少種や珍種であればあるほど、当然それを決定づける定量的なデータや情報は無いに等しく、何を基準に希少とか珍種とするかが問われます。本サイトでは一つの考えとして下記を取り上げて見ました。すべて実生、メリクロン等の培養種はその生産時点で希少や珍種ではなくなったため対象外です。
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